本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

『マーマーマガジン』を発行するエムエム・ブックス

東京堂のランキングに初登場した「マーマーマガジン」とはいったいどういう雑誌なのか?この本の版元「エムエム・ブックス」とはいったいどういう出版社なのか、関心を持ちました。

しらべると、植林された杉林に着物のようなホームウエアが並んだ写真を発見しました。写真には洒落た挨拶文が綴られています。

これはいったいなんでしょう。

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あるくよりも ひかえめに踊る日日に

小さな村の生活衣を身づくろう

日本のささやかな暮らしに

ひかりにゆれる衣が ひらり

花のかおりをゆたわせて

 

i a i は

暮らしのなかにひかりをみれる衣

そんな在りようの衣に想いを馳せ

早い服たちのずっとうしろから

遅れてゆきます

 

(i a i 居相大輝より)

 

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情報を読むことから体験することに、流れを変えようとする出版のこころみがあります。文筆家で詩人の服部みれいさんが編集長を務める雑誌『マーマーマガジン』もその一つ。4月27日に発行された「murmur magazine for men 3号」の特集は「みの虫生活のすすめ」と「うつくしいちいさな暮らしと服づくり」の二本立てです。表紙と企画からわかるように、スローライフミニマリズムエコロジー思考の優しい雑誌で、手に取るだけで癒やされるような雰囲気が特徴です。

なにより驚きなのは、この本が東京ではなく、岐阜県美濃市を拠点に出版されていることです。クリエイターやショップと情報を共有することで、出版という理念を経営的に支えてゆくという構造を作り上げているところにたくましさも感じます。

mm books

 

地域社会にとっても、生活の拠点を地域において活動を続ける取り組みは、持続性から見ても頼りになる存在です。ここにしかない出会いを求めて全国からこの土地を訪れる人が増えることで、文化が育つからです。 

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岐阜県美濃市に「マーマーマガジン」のショップがオープン!エシカルでホリスティックな「エムエム・ブックス みの」|「colocal コロカル」ローカルを学ぶ・暮らす・旅する

 

ショップでは連休中にi a i 居相大輝さんの個展が開かれました。

必要最低限の道具を用い、お客さまと顔を会わせ、お話をしてから服を仕立て、その場でしつらえ、お渡しいたします。 

土の香りをまとった採れたての野菜を調理するような、人の手でしか成しえない風合いを感じていただけますとさいわいです。

と説明があるように、地域の素材を使って作ったものをその価値を共有する人に手渡すというやり方は、まさに「モノよりコト」に比重を置く、今の価値観をすくい取ったような方法論のように思います。