本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

人形の国 

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「人形の国」弐瓶勉*1 著(講談社

遺跡層におおわれた巨大人工天体「アポシムズ」。危険な「自動機械」や「人形病」に侵された者たちが彷徨う極寒の地表で暮らすエオ、ビコ、エスロー達は行軍訓練のさなか、強大なリベドア帝国の兵士に追われる不思議な少女を助ける。少女から託された「コード」と「七つの弾丸」、それは世界の運命を大きく変えるものだった……!! 『BLAME!』『シドニアの騎士』の弐瓶勉が描くダーク・アドベンチャー・ファンタジー開幕!

著者の前作「シドニアの騎士」は、3DCGに特化したアニメーションで知られるプロダクション・「ポリゴン・ピクチュアズ」の手により完成度の高いアニメーション作品(テレビシリーズと劇場版)となりました。アニメ制作者は劇中劇という設定で別の作品「BLAME」の劇場版を企画し、5月に20日間の期間限定で劇場版を制作。このほど完成しました。そのタイミングに合わせるように第三作「人形の国」の単行本を刊行したのです。放送でいえば「集中編制」という手法は、限られた予算で作品を効果的に宣伝する有効な手段です。ただでさえコンテンツがあふれる時代です。散発的に鑑賞するのではなく、話題作をまとめて一気に味わいたいという読者側の要求をうまく捉えたやり方なのかも知れません。 

ということで、上映中の「BLAME」を観に劇場へ。

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期間限定+爆音上映とあって、8分の入りです。ポリゴンピクチャーの作品はCGアニメです。ハリウッドのCGとは違った技法で描かれているため、独自のクセがあります。難点だった人物の表情の描き方は進化しています。

制作陣は原作を著者の了解・協力を得て再構成したそうで、若干設定に不明な部分を感じましたが、「マカロニ映画」と割り切れば楽しめる娯楽作になっていました。重低音の設備がある劇場で見るべき作品です。

「人形の国」も同じスタッフ構成でアニメ化されるのでしょうか。

*1:1971年生まれ。漫画家。福島県郡山市出身。代表作に『BLAME!』『バイオメガ』『シドニアの騎士』など。1995年、『BLAME』がアフタヌーン四季賞谷口ジロー特別賞を受賞。その後高橋ツトム氏のアシスタントを務めた後、『BLAME!』の連載をスタート。『シドニアの騎士』を経て最新作『人形の国』を「月刊少年シリウス」で連載中