本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

辻山良雄さんが薦める文庫 2017.06.04

新しい本に出会うには、信頼できる選者が薦める本を手に取るのが早道です。

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大型書店「リブロ池袋本店」の元統括マネージャー。同店閉店後に退職し、荻窪に「Title」という自分の店を開いた辻山良雄さんが薦める本です。

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「人間とは何か」 マーク・トウェイン著 大久保博訳(角川書店

人生に幻滅している老人は、青年にむかって、人間の自由意志を否定し、「人間が全く環境に支配されながら自己中心の欲望で動く機械にすぎない」ことを論証する。人間社会の理想と、現実に存在する利己心とを対置させつつ、マーク・トウェイン(1835‐1910)はそのペシミスティックな人間観に読者をひきこんでゆく。当初匿名で発表された晩年の対話体評論。

人間とは何か (岩波文庫)

人間とは何か (岩波文庫)

 

「A」 中村文則 著(河出書房新社

「一度の過ちもせずに、君は人生を終えられると思う?」女の後をつける男、罪の快楽、苦しみを交換する人々、妖怪の村に迷い込んだ男、首つりロープのたれる部屋で飛び跳ねる三つのボール、無情な決断を迫られる軍人、小説のために、身近な女性の死を完全に忘れ原稿を書き上げてしまった作家―。いま世界中で翻訳される作家の、多彩な魅力が溢れ出す13の「生」の物語。

A (河出文庫)

A (河出文庫)

 

 

「戦後日本のジャズ文化 映画・文学・アングラ」マイク・モラスキー 著(岩波書店

戦後、占領軍とともに入ってきて日本で復活したジャズは、アメリカそのものだった! 映画、文学、映像作品などの中に表象されたジャズを読み解くと、戦後日本の文化・社会が見えてくる。日本のジャズ喫茶に通いつめ、その独自性を鋭く指摘し、自分でジャズピアノを弾く著者が、日本語で初めて書いた画期的な戦後日本文化論。サントリー学芸賞受賞作品。