本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

加計学園問題「総理の意向」文書全文

イムリーな企画です。電子メディアでなければできないことの一つに原典となるデータをまるごと出版するという方法があります。清濁併せ呑む形で出版のあり方を変えてゆく予感を感じます。

https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51JmexSPacL.jpg

 

加計学園問題「総理の意向」文書全文」(ゴマブックス株式会社)

森友学園の疑惑に続き、またまたグレーな問題発覚!
新しく1つの学部を創設するにあたって、数多くの要人が暗躍。
いったい何のために? 誰のために?
一つの文書を基にこれまでにわかった「加計学園問題」を整理!

「総理のご意向」「官邸の最高レベル」などと記した文書。「この文書の全文(8ページ)が6月7日までに、電子書籍として配信され始めた」「関係者から全文を入手したといい、これまでの経緯や国会答弁などを38ページの電子書籍にまとめた」という情報です。

本当にこの文書が本物なのか、という検証はどうやったのだろうか。
切り貼りのない原本が出たのなら注目すべきだが、

という読者からの疑問の声も聞こえることから、文書がそのまま公開されているのではないようです。

怪文書は、限られた組織・関係者の間で広がります。そもそも部外者である人の目には「怪文書が出た」という情報や、怪文書の一部コピーしか伝わりません。今回のケースのように国政に影響を及ぼしかねない怪文書が墨で塗りつぶされることなく全文読むことができるとしたら、コレクターアイテムに匹敵するほどのかなり貴重な事例だと思います。

https://img.buzzfeed.com/buzzfeed-static/static/2017-06/7/1/asset/buzzfeed-prod-fastlane-02/sub-buzz-26029-1496813483-1.jpg?downsize=715:*&output-format=auto&output-quality=autoこの出版の狙いをBuzzFeed Newsのリポーター籏智 広太さんは次のように書いています。

担当者は「文書を加工せずにありのままに伝えることで、読者が自ら判断できるという意義があると思います」と話している。加計学園「総理のご意向」文書全文をAmazonなどで配信 出版社のねらいとは

素人目からは「特定秘密保持法」で版元にガサ入れが入らないか?とか、「共謀罪」でしょっ引かれないかとか、つまらないところが心配になります。近隣諸国なら即時配信中止となるかもしれません。そんなことにならずに配信が続いているところに、この国の品格を感じます。

官僚は聞いたこと、自分が言ったことをすべて記憶し記録に残すのが仕事で、失念することはありえません。だってそれが仕事だからです。可及的速やかに紙で出版してくれることを書店員は期待しています。