本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

映画秘宝のセレクション特集

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色彩が溢れかえったサイコな装丁といえば、出版関係者が揃って指を指すのが「映画秘宝」の出版物です。赤、黄色、青、ピンク、紫・・・彩度100%のケバだたしさ。ページを開くと"香港九龍城"のごとく埋め尽くされた情報の濃い密度・・・。

棚に並んだ背の配色を見ているだけで安酒に酔っ払ったような気分になれます。

「センスが悪いねェ」などと言ったら出版社の思う壺。「ありがとう」と版元から大きな声が返ってきそうです。

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個性を競い合う映画秘宝の書籍群において、ただ一つ統一感がとれているのがA6変版の単行本・セレクションシリーズです。間近に控えた夏のボーナス戦線をねらって映画秘宝特集コーナーを立てて、勝負に出ることにしました。特撮論、ゾンビ論、残酷映画論などありきたりの映画鑑賞に物足りなさを感じたら、このシリーズを手に取ってみてください。

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「映画評論・入門!」モルモット吉田 著(洋泉社

映画評論家になるためには険しい道のりが待っている。リアルタイムでその映画の質を見極め、ジャッジを下す。『七人の侍』『ゴジラ』から『世界残酷物語』『太陽を盗んだ男』まで、公開当時に喧々諤々の論議を呼んだ。そんな名作の数々について書かれた映画評論を再検証した「リアルタイム映画評論REMIX」を含む、新しい“映画評論”の形。

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目次を見ただけで、セレクトされた映画の偏りと熱のこもった評論の迫力が伝わってきそうな気がします。

映画評論・入門! (映画秘宝セレクション)

映画評論・入門! (映画秘宝セレクション)

 

 ありきたりな視点や棘のない主張ではファンの要望に応えられない。放送局の映画関係者も密かに買いそろえる定番商品です。