本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

MEGA-SHIP 日本の現場「造船篇」

設定資料として必携の写真集です。

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「MEGA-SHIP 日本の現場「造船篇」」西澤丞 著(太田出版

人類最大級の建造物が、ひとの手でつくられる。その全過程。立ち入り困難な造船所の内部を徹底網羅した写真集。 

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近未来のディストピアを描きたい漫画家さん必携の"設定資料用写真集"。「日本の現場」をテーマに、製鉄所や首都高山手トンネルなど、一般の方では立ち入り困難な場所の撮影に長年携わってきた写真家・西澤丞さんの最新刊です。

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MEGA-SHIP (日本の現場「造船篇」)

MEGA-SHIP (日本の現場「造船篇」)

 

造船の現場は危険と隣り合わせです。鉄壁で密閉されたよどんだ空気。昼は灼熱。夜は極寒の過酷な現場。飛び交う溶接の火花。宙を飛ぶクレーンの唸り。ヘルメットや安全靴などの安全対策をした上でないと現場見学すら許されません。立ち入り禁止の中に入ることが許されるのは、現場作業員並の高度な知識と経験がなせる技なのです。

立ち入り禁止の場所を撮り続けてきた西澤さんは、その動機を「単なる野次馬根性で観に行っているのではない」といいます。

https://www.konicaminolta.jp/plaza/schedule/2016march/do_not_enter/img/img_01.jpg

科学や工業などは、人々の暮らしを支える大切なものであるにもかかわらず立入禁止であるために、その実態を知る機会は、ほとんどありませんでした。一方で、現実がどうなっているのかを知らずに物事を判断することは、間違った未来を選択してしまう可能性が高くなり非常に危険です。

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写真を見て感じるのは、装置が装置として機能するために作り上げた冷たい秩序の姿です。人間はその秩序の前に異物としてしか見えません。本来は人間のために存在するべき装置がここでは主客逆転しているのです。

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写真家の西澤丞さんによる写真集『MEGA-SHIP 日本の現場「造船篇」』の刊行を記念して、トークショーが東京・青山の青山ブックセンターで開催されます。現代社会の秘境ともいえる現場の撮影秘話を聴けるチャンスです。

 「立ち入り禁止の向こう側を撮る」 西澤丞 トークイベント | 青山ブックセンター