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珍しい日記

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「珍しい日記」田中珍彦*1 著(木楽舎

世界初、門外不出のドイツの至宝バイロイト祝祭劇場を、そっくり日本に引っ越しさせた、苦難と痛快の実録奮戦記。1989年9月3日、東急文化村グランドオープン。柿落としを飾る、ワーグナーのオペラ・タンホイザーが遂に実現した。そして渋谷は、文化村になった。この日記には、グローバル社会に役立つ外国人との交渉術の見本がある。

月刊『ソトコト』を発行する木楽舎は「持続可能な社会のあり方を追求するライフスタイルを目指す」というビジョンが立っている出版社です。どちらかというと自然志向であり環境志向の流れを感じます。その出版社が目をつけたのが若者の街・渋谷。センター街に代表される消費志向の街に同居する文化の拠点「東急文化村」の仕掛け人の本を出しました。変化を遂げつつある街の未来を考えるとき、開くと楽しい本といえそうです。 

珍しい日記

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*1:(たなか・うずひこ) 1940年生まれ、東京都出身。1965年、早稲田大学第一文学部卒業。1974年、株式会社東急エージェンシー入社。1984年、株式会社東急百貨店に転籍し、Bunkamuraの開発計画からかかわる。1988年、株式会社東急文化村の設立と同時に取締役に就任。オーケストラや劇団とフランチャイズ契約を結び、お互いの特性や魅力を最大限に生かす「フランチャイズシステム」、企業が文化・芸術を長期的に支援・育成する日本初の「オフィシャルサプライヤーシステム」、文化・芸術の各界の第一線で活躍する方々が企画・運営に加わるプロジェクト「プロデューサーズ・オフィス」などを確立。Bunkamuraは1999年度の「メセナ大賞」受賞に輝いた。2007年に同社代表取締役社長に就任。現在は一般社団法人日本クラシック音楽事業協会顧問など兼任。