本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

月の満ち欠け

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「月の満ち欠け」 佐藤正午 著(岩波書店

第157回直木賞に選ばれた「月の満ち欠け」が入荷しました。いつもと違って部数は少なめです。というのもこの本はいつものような配本ではなく、買い切り。つまり書店の責任で売り切らないと行けない本だからです。版元は岩波書店。岩波の本は確実に部数が届く上、そこそこ動くことから心配ないと思いますが、書店にとってはギャンブルのようなものです。

著者は新聞のインタビューに答えて「小説家が本当に小説家でいるのは、姿を見せず沈黙したまま世間から忘れ去られて、一人机に向かっている時です」と語っていました。書く意欲がある人の本を売りたいというのが本屋の気持ちです。

「自分に書く意欲があって、おまけに書かせてもらえる場所があるなら、辛いことは何もありません。怖いのは自分の中に書く意欲がなくなることです」岩波書店の見識を感じる本です。