本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

あるかしら書店

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「あるかしら書店」ヨシタケ シンスケ*1ポプラ社

 この本屋さんでは、「あったらいいな」という本や夢いっぱいのグッズが、次から次へと飛び出します。月明かりの下でしか読めない「月光本」、読書に付き合ってくれる「読書サポートロボ」、ふたつの本を合わせて初めて読むことができる「2人で読む本」などなど、読んだらきっと「本ってやっぱりいいよねぇ」と言いたくなってしまうエピソードが満載。大人気の絵本作家ヨシタケシンスケさんの豊かな発想力がめいっぱい詰まった、ますます本が好きになってしまう一冊です。

購買層の関係から学参本と絵本は取り扱っていませんが、こどもの本の動きは気になります。電子デバイスが普及しても、スマホを自由自在に使いこなせる就学児童はいないからです。

ですから、ドラえもんを軸とした売り上げをほこるコロコロコミックは、劇的に売り上げを落とすことはなく、小学館の業績安定に寄与していることもよくわかります。

「子どもに読み聞かせる気持ちでページをめくったら大人の心にも響いてしまった」という売り方は、ずるいようですが正しい方法なのかも知れません。本屋の思いを形にしたのがこの本です。

あるかしら書店

あるかしら書店

 

http://www.osoraku.com/

 

*1:1973年、神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。日常のさりげないひとコマを独特の角度で切り取ったスケッチ集や、児童書の挿絵、装画、イラストエッセイなど、多岐にわたり作品を発表している。『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)で、第6回MOE絵本屋さん大賞第1位、第61回産経児童出版文化賞美術賞などを受賞。著書に、『しかもフタが無い』(PARCO出版)、『結局できずじまい』『せまいぞドキドキ』(以上、講談社)、『そのうちプラン』(遊タイム出版)、『ぼくのニセモノをつくるには』(ブロンズ新社)などがある。2児の父。