本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

さよなら、田中さん

 サイバラの著書と思いっきり間違えそうな装丁がちょっとアレですが・・・

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「さよなら、田中さん」鈴木るりか 著(小学館

田中花実は小学6年生。ビンボーな母子家庭だけれど、底抜けに明るいお母さんと、毎日大笑い、大食らいで過ごしている。そんな花実とお母さんを中心とした日常の大事件やささいな出来事を、時に可笑しく、時にはホロッと泣かせる筆致で描ききる。今までにないみずみずしい目線と鮮やかな感性で綴られた文章には、新鮮な驚きが。
友人とお父さんのほろ苦い交流を描く「いつかどこかで」、
お母さんの再婚劇に奔走する花実の姿が切ない「花も実もある」、
小学4年生時の初受賞作を大幅改稿した「Dランドは遠い」、
田中母娘らしい七五三の思い出を綴った「銀杏拾い」、
中学受験と、そこにまつわる現代の毒親を子供の目線でみずみずしく描ききった「さよなら、田中さん」。
全5編収録。

今年、目立った話題が見られない日本の出版界。久々の明るい話題に育ちそうなオーラたっぷりの期待の新人が董承しました。新人と言っても年齢からして若い。14歳のまぎれもない新人作家の誕生です。 

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鈴木るりか(すずき・るりか)
2003年10月17日東京都生まれ。
血液型A型。
史上初、小学4年、5年、6年生の時(2013~15)、3年連続で小学館主催『12歳の文学賞』大賞を受賞。小説を書くようになったきっかけは、『12歳の文学賞』の賞品の図書カードで「ちゃお」を一生分買いたかったから。
好きな作家:志賀直哉吉村昭
好きな科目:国語 嫌いな科目:数学
好きな音楽:ボカロ
好きな有名人:さまぁ〜ずの三村さん
将来の夢:小説だけでなく、シナリオや漫画にも挑戦したい。
お気に入りスポット:ロイヤルホスト

この設定となったのは、近所に引っ越してきた母子家庭の親子でした。このモチーフを土台に実際に工事現場働いている女の人が携帯に子どもの写真を付けたストラップを見てイメージを膨らませました。「主人公は自身の理想の姿。最後に光を感じられるようなそういう小説にしたいと思って書いた」そうです。

小説家を目指したきっかけとなったのが文学賞に掻けられた図書カード10万円分の副賞でした。当時読んでいた「ちゃお」が一生分買えると思ったところが微笑ましい。

締切当日の数時間で書き上げたというから驚きです。さまぁ~ずの三村さんが大ファンの鈴木さんは、三村さんは本屋大賞の本を必ず読むから本屋大賞を目標にしているといいます。

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