「幸せってなんだっけ? 世界一幸福な国での「ヒュッゲ」な1年」ヘレン・ラッセル*1 著(CCCメディアハウス)
英国版『マリ・クレール』誌のライフスタイル担当編集者である著者が会社を辞めた。
夫の転職もあったが、まったく幸せとは思えていない自分が幸せの提案をし続けることに耐えられなくなったからであった。
結婚はしているが、子どもに恵まれていない。
後に結婚した同僚が次々産休を取っていき、心ない言葉にも傷ついていた。
本当の幸せとは何かと考え続けた時に、デンマークが幸福度の高い国であることを知る。
周囲の反対を押し切って、夫とデンマークに無謀にも移住し、デンマークの幸福を調査し、自らデンマークの幸福の秘密「ヒュッゲ」を経験していたら……。「ヒュッゲ」な暮らしで、幸福が舞い降りてくる。
デンマーク人はなぜ世界で一番幸せなのか?
デンマーク人はストレスという言葉を知らない?
デンマーク人は4時に帰宅?
デンマーク人は国旗を破る?
デンマーク人のキャンドルの消費量は世界一?
デンマーク人はランプになぜ凝るの?Hygge:「ヒュッゲ」とは「心安らぐひととき」「ほっこり」という意。
マスコミの仕事はできあがった番組や記事で評価されます。制作の途中で大変な目にあっても、また逆にものすごい幸運に恵まれてもそれは評価されません。やりがいがある仕事といえばそうなのですが、成果物あっての仕事ですので働き方は不規則になりがちです。
そうした目で本書を見ると「まったく幸せとは思えていない自分が幸せの提案をし続けることに耐えられなくなった」というつぶやきは他人事ではありません。
著者のヘレン・ラッセルは幸福のための10のコツのひとつに「選択肢を減らすこと」を挙げています。買い物、趣味や仕事でも選択肢が多いことは生き方を自由にしてくれる一方で、不自由にもつながります。
自由そうに見えるマスコミの仕事は、一人親方の大工さんのようなもの。番組や記事が思うようにでき上がらないと、仕事に自分の時間を奪われ続けるのです。場合によっては他人に自分の仕事を奪われることだってあります。
たくさんの情報やモノに埋もれ、常に他人と自分を比較し、自分がまだ手に入れていないものを際限なく求め続けては疲れ、自分を見失ってしまう。それは自分が求めていたことだったのでしょうか。
コーヒーを淹れること、散歩をすること、美術館に行くこと、家でご飯を食べること、家族や友達と一緒に語り合うこと、または1日中パジャマを着てのんびりコーヒーを飲みながら読書するというような日常生活にある本当にシンプルなことが、実は最高の贅沢であり、幸福につながることを教えてくれます。
幸せってなんだっけ? 世界一幸福な国での「ヒュッゲ」な1年【電子書籍】[ ヘレン・ラッセル ]
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