本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

漫画 君たちはどう生きるか

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「漫画 君たちはどう生きるか」吉野源三郎 著、羽賀翔一 イラスト(マガジンハウス)

1937年に出版されて以来、
数多くの人に読み継がれてきた、
吉野源三郎さんの名作「君たちはどう生きるか」。

人間としてあるべき姿を求め続ける
コペル君とおじさんの物語。
出版後80年経った今も輝き続ける
歴史的名著が、初のマンガ化! 

 今流に言い直せば”自己啓発本”の範疇に入る本です。著者はわかりやすい言葉を使い、彼らが体験したであろう事柄を例に取りながら、取るべき道、振る舞うべき姿勢を一緒になって考えて行きます。

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原本は岩波書店から新書版で版を重ね続けています。今回、新たに登場したのはマガジンハウスから出された二冊の「どう生きるか」。出版社と編集者はスマホ時代に生きる子どもたちを鑑み、活字版と同時に漫画版を発行しました。

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活字に馴染んだ中高年には、少年時代を振り返ってもらいたい。漫画版はネットに馴染んだ将来ある世代に向けて読んでもらいたい。という編集者の思いが伝わってくる気がします。

「いまは亡き著者と、これをいま出版しようと考えた編集者と、この本に正面からぶつかろうと思った漫画家に、カーテンコールのように拍手を続けています」糸井重里

世代によって読者に響くストライクゾーンは微妙に異なります。編集者があえて誌面を分けたのは、それぞれの芯にあたる部分に性格でかつ、力強い一球を投げ込みたかったのではないかと思います。

漫画版を開いて、出版社側の目論見は良い方に外れたような気がしました。誰もが生き方を模索する今の時代にこの本を届けたいという編集者、漫画家の熱意がページの中から立ち上がってきたからです。

中高年のみなさんには、ぜひ漫画版を手にとってみてください。主人公・コペルくんが鏡に写った自分のように見えてくるはずです。