「ふたご」藤崎彩織(SEKAI NO OWARI) 著(文藝春秋)
彼は、わたしの人生の破壊者であり、創造者だった。異彩の少年に導かれた孤独な少女。その苦悩の先に見つけた確かな光。SEKAI NO OWARI Saori、初小説!
放送番組の制作集団は報道系と制作系の二つに大きく分かれます。
制作系はさらにドラマや芸能コンテンツを作る集団と、それ以外に分かれます。
それぞれ分野の専門性を掘り下げて行くので、
報道に携わる終電はおおむね芸能に弱く
(ニュースバリューとしての情報はしっかり抑えていますが・・)、
制作系は世の中の事情に疎いということが起こります。
世の中の変化に敏感であるのも放送局員の仕事なので、
得意分野ではない人の動きにも常にアンテナを張り続けなくてはなりません。
本書の著者は人気バンドのミュージシャン。
芸人さんを生業としている人が文学賞を取ってしまったり、
政治家が芸能分野で活躍したりということは頻繁に起きます。
本作もそうした流れの作品です。
本業のバリューが先になって話題が先行しがちです。
熱心なファンが著作を見て読書家になっていくように、
異なる分野で働く集団が視野を広げるきっかれになることを
書店は密かに期待します。