本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

町工場の娘

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「町工場の娘」諏訪貴子 著(日経BP社)2014年

町工場を営む家の次女として生まれ、32歳の時に突然、主婦から先代の後を継ぐことになった女性経営者の奮闘記。

幼少期に亡くなった兄の「生まれ変わり」として育てられた。
「ひょっとして私が会社を継ぐのかな…」という“予感"はあったが、大学卒業後は父の会社(ダイヤ精機)の取引先でもあった
自動車部品メーカーに就職。その後、父に請われ、ダイヤ精機に入ったが、経営方針の違いから、2度のリストラ宣告を受ける。
しかし、32歳の時に父が急逝し、突然社長を継ぐことに。バブル崩壊の余波もあって赤字経営が続く中、再建の舵取りをいきなり任され、
以後、様々な壁にぶつかりながら、「町工場の星」と言われるまでに社業を復活させた。
生産管理へのIT導入、「交換日記」による若手社員との対話など、「情と論理」のバランスの取れた、女性ならではの経営手法が注目され、
ダイヤ精機には今や全国から見学者から訪れる。その2代目社長が初めて筆を取り、父や兄への思いを綴りながら、
社長になってから10年の軌跡を克明に振り返る。

長編小説のドラマ化は難しいと制作関係者に聞いたことがあります。

長編の場合、シーンや展開が本の上でほとんど完成されているため、読者は自分の頭の中にそれぞれのイメージを作り上げています。ドラマ化する際、放送時間尺にあわせてシーンをいじらざるを得ないことがありますが、そのさじ加減が大変なのだそうです。

その点、短編ドラマはドラマ化する際放送時間に合わせるため、ストーリーを補完する必要が出てくることがあります。制作側は創作も含め積み上げる作業が増えるのですが、熱心な読者の機嫌を損ねることは少なくなります。

もっと自由度の高いのが現実におきた事実を下敷きにしたドラマです。史実は曲げるわけには生きませんが表現の強弱をつけたり、印象的な台詞まわしで人間像を際立てたりすることができるので 、ノンフィクション作品を買い求めるドラマ関係者は少なくありません。

www.nhk.or.jp

11月24日(金)後10:00 放送スタート!