残業ゼロは時代の流れ
一億総活躍社会といっても実現はなかなか難しいものです。
「残業上限、過半が月80時間以上」という見出しが今朝の朝刊に載っていました。
大手企業では残業時間の上限を超える労働がまだまだ続いています。
「給料が少なくてもいいから残業がない会社がいい。」と考える人も増えている今、
働き方改革に率先して努めている企業に注目が集まります。
経営者が率先して残業ゼロに取り組んだ、話題の企業の本が出版されました。
残業ゼロで年収600万円は相当凄いことだと思います。
「町工場の全社員が残業ゼロで年収600万円以上もらえる理由」吉原博 著(ポプラ社)
「残業ゼロ」が叫ばれるなか、社員7人の町工場ながら「完全残業ゼロ」を続けている町工場がある。それが本書の著者の会社「吉原精工」である。 さらに、残業ゼロといったときに、残業代分の給料がそのまま下がる会社が多いなかで、同社は、残業代を基本給に組み込むことで、社員の給料は全員が600万円以上(参考:全国平均年収約420万円/平成27年度 国税庁民間給与実態統計調査より)となっている。 その一方で、同社はリーマンショック以降、売り上げや利益を伸ばし続けており、「社員も会社も儲かっている会社」として多くのメディアからの取材も殺到している。 本書は、会社も社員も幸せにする小さな町工場の経営改革を紹介するものである。経営者の方だけでなく、働き方改革や残業ゼロに悩む、多くのビジネスマンにとっても参考になる一冊。
残業ゼロが注目された
本の著者、吉原博さんは 神奈川県綾瀬市にある金属部品の加工会社の経営者です。
手がける仕事はワイヤーカットと呼ばれる金属加工技術です。
金属をノコギリなどで切断すると切断面がざらざらになりますが、
ノコギリの代わりにワイヤー線に電流を流して精密に切る特殊技術です。
この会社がとりくんでいるのが残業ゼロの働き方改革です。
「吉原精工、社員7人の町工場がトップダウンで残業ゼロ 目指すは完全週休3日」(日刊工業新聞 2017.02.03)
新聞やNHKのローカル番組(2017年5月4日)でも取り上げられたことで、
更に注目を浴びることになりました。
どんな会社
会社のホームページは特徴があります。 子どもでも読めるわかりやすい造りになっています。 ホームページを読むだけで楽しい気持ちが浮かんでくるところに この会社の志を感じることが出来ます。
ワイヤーカット加工による、うまい・やすい・はやい のワイヤーカット加工専門会社 吉原精工
吉原精工とは、どんな会社?
一言で表すとワイヤーカット専門ばか一筋35年の会社で総員9名の小さな町工場です。北海道・本州・四国・九州から宅配便を利用し現在約450社の法人様及び趣味用の個人様,各大学研究室、サークルおよび各企業の開発部門、設計部門のお客様とお取引させて頂いております。 量産加工専門会社とありますが、1個からでも喜んでお受けいたしますのでお問合わせください。『あいてて良かった』。と思われるようなコンビニタイプの会社を目指しております。
残業ゼロの理由
本書によると、吉原精工は当初相当なブラック企業として社員が酷使されていたようです。
ところがリーマンショックで仕事が激減。
反省した社長はトップダウンで働き方改革に舵を切り、経営を建て直したのだと言います。
社員の能力には違いがあるので一律号令してもうまくいくとは限りません。
生産能力の高い社員と低い社員の違いを研究し分析。
できる社員のノウハウを全社員で共有して生産能力を上げる努力を積み重ねたといいます。
ひとりの社員が手に入れた知恵や工夫は全員が共有することで全体の利益に繋げる。
こうした積み重ねが実り残業ゼロを手に入れることが出来たのです。
こうして、工作機械はフル稼働。外注は使わず、営業活動もしない。
それでも売り上げは増え、社員も自分の時間を手に入れることができました。
まとめ
逆境から這い上がった改革のエッセンスがこの一冊に詰まっています。
同じ悩みを抱える企業経営者にとって働き方改革のヒントになりそうです。