本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

新鉄客商売 本気になって何が悪い

f:id:tanazashi:20171128180735p:plain

 

「新鉄客商売 本気になって何が悪い」
唐池恒二 著(PHP研究所

鉄道会社なのに船の事業、外食レストラン事業、ホテル、マンション、複合商業施設たる駅ビルを中心としたまちづくり。農業にも参入しつつ、ドラッグストアチェーンを端緒とする果敢なM&A……。

1987年の発足以来、JR九州はこれだけの「鉄道以外」の事業に取り組み、成功させ、企業として大きな躍進を遂げてきました。
彼らはなぜ「やってのけた」のか。この本の著者であり、数々の成功劇を現場のリーダーとして、経営者として、牽引し続けてきた現JR九州会長・唐池恒二さんはこの本のなかで「本気になって何が悪い。夢をみて何が悪い。そう思いながらここまでやってきた」からだと説きます。

鉄道会社といえば地域社会の中では名民企業。とかし最近は事故や不祥事、赤字路線の廃止問題などで厳しい時代が続いています。その中で、鉄道以外の分野に多角展開することで存在感を見せているのがJR九州です。

九州地方は旅をした方はわかると思いますが、沿線が観光資源に恵まれています。さらに冬場の積雪という課題も少ないことから安定した運行がしやすい点もメリットといえます。

 JR九州のまさに多角的な成功はなぜ起きたか。現役の会長が面白おかしく、「経験」を語っている。今朝から半日で一気に読み終わってしまった。ある意味本物の「経営書」だが、読者へのサービス精神も旺盛で、何度も吹き出した。

熊本地震の傷跡はまだ癒やされていませし、鉄道経営の未来も混沌としています。そのことを踏まえつつも、トップが「前向きに進もう」と元気な声を発することの大切さを感じさせてくれる本です。