「キーワードで読む現代日本写真」飯沢耕太郎 著(フィルムアート社)
日本の現代写真の基礎知識、決定版!
アート化とデジタル化/震災後の写真/「戦後写真」の終焉……
現代日本写真の転換期・2009〜2017年のトピックから厳選し、
105の用語、72組の写真家、170の展覧会・写真集を網羅。
どちらかというと、プロの方向けの本です。
インスタグラムを楽しむ人にとって、即席に役立つ本ではなすかもしれません。
でも、根強いファンがいるのです。
放送局には。
写真家がいるわけでもないのに。
昭和の中頃までは、放送局の中にもプロの写真カメラマンが存在しました。
動く絵を商売道具にする放送局において静止画の撮影を生業にする職種です。
インターネット動画やビデオがない時代。
動画撮影はもっぱらフィルムに頼るしかありませんでした。
しかし、ムービーカメラは貴重品。
フィルムも3分程度しか撮影できないものが主流で価格も一本数千円。
そんな時代に活躍したのが写真カメラマンだったわけです。
資料室の映像アーカイブを覘くと、
プロの写真家が撮ったとしか思えないような風景写真や建物、行事などの写真があるのは、
写真のプロフェッショナルの存在を物語ります。
書店でも写真専門誌や技術関連書に需要が集まりました。
その後写真カメラマンの役割は、報道カメラマンや番組カメラマンが担うことになりました。
フィルムアート社の書籍を多く扱う理由の一つに、時代の背景があったのです。