官民で議論が進む「働き方改革」に関心を持つ選者が多く、雇用や労働の問題を、理論とデータの両面から分析した秀作が並んだ。メガバンクが大規模な人員削減の計画を発表し、金融機関の先行きが不透明さを増す中で、金融を立て直す方法を提言する本が上位に入った。
1.「人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか」
働き手にとって最重要な関心事である所得アップが実現しないのは、なぜ?22名の気鋭が、現代日本の
労働市場の構造を驚きと納得の視点から明らかに。
2.「働き方の男女不平等 理論と実証分析」
ルービンの因果推論モデルなど最新の分析モデルを駆使。男女の所得や管理職割合の格差、職業分離の実態、WLB推進の効果、統計的差別の不合理性などを分析。
3.「錬金術の終わり 貨幣、銀行、世界経済の未来」
このままでは、
金融危機の再来は防げない!前
イングランド銀行総裁が放つ、現代経済学への痛烈な批判。現代の貨幣・銀行システムの欠陥を豊かな歴史的洞察をもとに追究。巨大な危機の発生を回避する処方箋を強い警告を込めて示した話題作。
4.「日本の人事を科学する 因果推論に基づくデータ活用」
女性活躍支援、働き方改革、採用、管理職評価、離職対策、
高齢者雇用―問題点と解決策をデータで明らかに。戦略的人事設計の必読書。
5.「金融に未来はあるか―――ウォール街、シティが認めたくなかった意外な真実」
フィデューシャリー・デューティー、ガバナンス・コード、スチュワードシップ・コード、規制、報酬、訴追、
預金保護、資産運用、
多角化……
「ケイ・レビュー」で日本の
金融庁をも動かした最強
エコノミストが書きおろした世界的問題作
6.「スティグリッツのラーニング・ソサイエティ」
ラーニングは私たちの生活をどう変えたのか?ラーニングはどのような環境で生まれるのか?個人・企業・社会のラーニングを促進するものは何か?なぜ途上国では
幼稚産業保護が必要なのか?なぜ金融自由化や貿易自由化でラーニングが阻害されるのか?
ノーベル賞経済学者の
スティグリッツ教授が、生産性を高め社会的厚生を改善させるラーニング・ソサイエティを構築するための政策を提言する。
7.「データ分析の力 因果関係に迫る思考法」
ビッグデータが存在するだけでは、「因果関係」の見極めはできない。データの扱い、分析、解釈においては、人間の判断が重要な役割を担う―。本書では「広告が売り上げに影響したのか?」「ある政策を行ったことが本当に良い影響をもたらしたのか?」といった、因果関係分析に焦点を当てたデータ分析の入門を展開していきます。
伊藤 公一朗 光文社 2017-04-18
8.「「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法」
この本を読めば、2つのことがらが本当に「原因と結果」の関係にあるのかどうかを正しく見抜けるようになり、身の回りにあふれる「もっともらしいが本当は間違っている根拠のない通説」にだまされなくなります。この「因果推論」の考えかたを、数式などを一切使わずに徹底的にやさしく解説します。
9.「正規の世界・非正規の世界――現代日本労働経済学の基本問題」
労使自治は“桎梏”か“根幹”か?著者は現代の
労働市場で最も顕著な問題を「正規の世界と非正規の世界の不釣合いな関係」と捉え、富国強兵から
シャッター商店街に至る1世紀余りを
労働経済学・数量経済史・法と経済学など多彩なアプローチ・分析手法を用いて概観。現在から未来へとつながるわが国の働き方のトレンドを展望する渾身の力作!
10.「現金の呪いーー紙幣をいつ廃止するか?」
ケネス・S・ロゴフ
日経BP社 2017-04-06