「人類の進化が病を生んだ」ジェレミー・テイラー 著(河出書房新社)
2017年死去したジェレミー・テイラー氏*1は、ディスカバリー・チャンネルやラーニング・チャンネルの科学番組を数多く制作してきたBBCテレビの名物プロデューサーです。
なぜ病気に苦しめられるのか? アレルギー、不妊症、癌、心臓病など、進化から病気の原因を明らかにする、「進化医学」の最前線!をまとめたこの本は、テイラー氏の遺作となりました。
生活様式が急激に変わりすぎて人類がそれに適応しきれないのが、様々な病気の原因だと言われます。
人間の病気は、主な原因に加えて、さまざまな要因が組み合わさって起ききます。たとえば病原菌が主な犯人としても、それを病気に結びつけるには様々な副因や誘因が作用しているのです。これを「病因論」といいます。
病因論の立場に立って病気の遠因を明らかにし,病因への理解を深める学問分野として最近脚光を浴びはじめているのが「進化医学」です。
ヒトはなぜメタボになるのか―進化から読み解くメタボ:その異常値、戻しましょう!~ STOP・メタボの12ステップ~:日経Gooday(グッデイ)
番組制作者は科学者ではありませんが、最先端の現場で今なにが起きているか見極め、科学者と共同でわかりやすく映像化する力が求められます。
世界の放送局で科学番組作りの実績を持つのが英国・BBCが取り組んだ医学の最前線は日本の放送番組に大きな影響をもたらしてくれるかも知れません。
「人はなぜ病気になるのか―進化医学の視点」