東洋経済のブックレビューです。(2018年5月12日)
1 「議員内閣制」高安健将 著 (中央公論新社)
政権交代のある二大政党制、強いリーダーシップ…英国の議院内閣制は、日本など各国から理想的な政治モデルと見られてきた。しかし、スキャンダルや政策の失敗により、保守党と
労働党はともに国民の信頼を失い、支持基盤の空洞化が進む。さらに
EU離脱をめぐる混乱は世界の失望を招いている。危機に直面した英国は、国家構造を改革し、議院内閣制を変貌させる道を選んだ。この英国の挑戦から日本は何を学ぶか。
2 「共謀」 ルーク・ハーディング 著 (集英社)
機密文書のリークが発端となった「
ロシア疑惑」は、トランプ政権の閣僚、スタッフが次々と辞任、起訴に追い込まれ、大統領本人の聴取をめぐってFBIとトランプ側の攻防が繰り広げられている。そもそも、トランプとロシアが結びつくきっかけは何だったのか、誰が関わっているのか。細かい取材の積み重ねで、複雑なルートが少しずつ明らかになっていく。
ルーク・ハーディング/高取 芳彦
集英社 2018年03月26日
3 「植物は未来を知っている」 ステファノ・マンクーゾ 著(NHK出版)
植物は〈未来〉を知っている
植物は20の感覚で思考している──
ベストセラー『植物は〈知性〉をもっている』で、驚きにあふれた奥深い植物の世界を見せてくれた著者が描く、人間と植物の新しい関係。
動かずに生きる道を選んだ植物は、かわりにさまざまな能力を磨くことで未来を切り拓いてきた。記憶力や特殊な運動能力、さらには人間もまねできない擬態力やインターネットのような分散化能力まで─。今や地球上のあらゆる場所で繁栄する彼らは、いわば生物界の超エリートだ。過酷な環境にも適応し、共存していくその能力に、今こそ人間も学べることがあるのでは? 宇宙開発や環境問題の解決のために活用できたら、私たちの未来は、どのように変わるだろうか?
最新の科学で、〈植物と人間の驚異の未来〉を刺激的に描きだした野心作!
ステファノ・マングーゾ/久保耕司
NHK出版 2018年03月23日
3 「もうゴミの島と言わせない」 石井亨 著(藤原書店)
「ミミズの養殖を騙った産廃の不法投棄」の容疑で業者が摘発されたのは1990年のことでした。それから豊島の産廃事件が一応の決着を見るまで10年。さらに持ち込まれた産廃が撤去されるまで17年の歳月がかかりました。
あれだけ世間を騒がせた当事者。業者の氏名はどのメディアにも掲載されていません。不思議です。
www.teshima-school.jp
2017年3月28日、
産廃90万トン撤去実現。
瀬戸内・
香川県の豊かな島に産業廃棄物が不法投棄され、甚大な
健康被害と環境汚染をもたらした「豊島事件」。
責任は行政の黙認にあるのか、事業者にあるのか? 島民は一致団結できるのか?
撤去を求める
住民運動に身を投じ、
県議会議員を二期務める一方、一転ホームレス状態にも陥った、闘争の渦中の人物が、43年の歴史を内側から描く。
石井 亨 藤原書店 2018年03月22日