「おごと温泉の地域革新」岩崎勝彦 著(中央経済社)
いったん付いた評判はぬぐい去るのも一苦労です。
対象が地域にまで広がると地縁だとか、利権だとかが絡み合い、一筋縄ではいけません。
本書の舞台となった温泉地もその一つです。琵琶湖南西部に位置するおごと温泉は、比叡山延暦寺を開いた平安時代の僧、最澄が源泉を発見したとされる温泉地です。
かつて「関西屈指のソープランド街」と共存して名をはせた雄琴温泉(大津市)が、イメージチェンジを進めている。
マイカーの普及でソープランド利用客が温泉街に立ち寄らなくなると、宿泊客が激減。28軒あった温泉旅館が次々に閉店し、気がつけば生き残ったのはわずか10軒という危機的状況に陥った。
平仮名表記の「おごと温泉」を名乗って、「京都に最も近い温泉街」を前面にPR。その結果、男性客しかいなかった温泉街に、家族連れや女性客らが訪れるようになり、収益の柱でもある団体客や修学旅行客も戻ってきた【若手記者が行く】「特殊浴場と共存」は昔の話、旅館2代目たちが「脱風俗」のイメージチェンジに奮闘する「おごと温泉」の“今”(1/4ページ) - 産経WEST。
かつては日本中にその名をとどろかせた歓楽の都が、どのような歴史を辿ったのか興味を抱かずに居られません。
岩崎 勝彦 中央経済社 2018-05-19