「あたらしい「路上」のつくり方 実践者に聞く屋外公共空間の活用ノウハウ」影山裕樹ほか 著(DU BOOKS)
国土交通省が地域行政担当向けに「都市空間における公共空間の利活用に関するアンケート」を行なうなど、近年流行の屋外公共空間でのイベントづくり。
古い時代の経験者から見ると、路上という言葉からは、どこか胡散臭い危険なイメージが立ち上がってきます。
急速にビル建設が続く渋谷の街。
こぎれいな空間も少し前には、両足を失った傷痍軍人や物乞い、危険な目つきの小太りヤクザ、角棒にヘルメット姿の学生や機動隊など、異形の路上の人々に満ちあふれていました。
そんな空間でコミュニティ活動ができるようになったのは奇跡的とでも言えそうです。
その空間をさらに活用・発展させて行こうというのが著者の取り組みです。
多様な市民が集う屋外の公共空間をつくるには? 影山裕樹
大自然の中で野外上映を楽しむ「星空の映画祭」 武川寛幸
公園で結婚式を開催する「Happy Outdoor Wedding」 柿原優紀
駅を酒場に「京阪電車・ホーム酒場」 吉城寿栄
まち歩き事業の舞台裏 進化する観光「まいまい京都」 以倉敬之
祭りと融合し、地域にとけ込む「野外音楽フェス」 高岡謙太郎
水辺に飲食空間を作るには?「京都の川沿い、愛知・殿橋テラス」 榊原充大
香港の路上実践「アートセンター、路上バー、ゲリラガーデニング」 江上賢一郎
電車のホーム酒場や公園結婚式、野外映画上映、路上バーなど、多様な市民が集える公共の屋外空間(=路上)づくりを実践する先駆者ご寄稿頂いた実例&アイディア集。
海外で生活したことがある人は、日本の治安の良さを公共の空間で感じるといいます。
屋外公共空間の活用は、イベントの企画者と行政側の地味で細かい作業の積み重ねがあって、はじめて咲いた花と言えそうです。
ノウハウをしっかりまとめていけば、世界に誇れる日本のコンテンツに発展させることができそうです。