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#はらだ有彩「日本のヤバい女の子」

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「日本のヤバい女の子」はらだ有彩 著(柏書房)

「ヤバい」という言葉は最近様々な意味で使われていて、本来使われていた意味がなんだったのか思い出せないほどです。

安易に使い続けると語彙力がやせ細るのではないかと人ごとながらちょっと心配になります。

ウェブマガジン「アパートメント」の人気連載の書籍化。

懐かしくて新しい昔話×女子系エッセイという宣伝でサイトを訪ねてみました。

5月は【5月のヤバい女の子/嫉妬とヤバい女の子】というタイトルでオコゼと山の神の話です。

「女は嫉妬する。自分よりも美しいものを、あるいは女そのものを排除する。そして自分よりも醜いものに安堵する。」

なるほど。人気の理由が響いてきました。

自分のことを好きでいられることは素晴らしい。私だって自分を愛したい。自分のせいで発生したわけでもない自分の一部に悩まされ続けるのはもういやだ。
どこまで行っても付きまとう断続的な苦々しさから逃れられるのなら、誰に貧乏くじを引かせても致し方ない。だって、今、こんなにつらい。
それは分かる。実際に、具体的に誰かを犠牲にしても構わないと思い、それを実行するかどうかはさておき、モラルをめちゃくちゃにしても救われたいという気持ちは確かに存在する。
だけど「山の神は醜いから、自分より醜い者を見ると安心して機嫌が良くなる」というストーリーを目の当たりにすると、そ、そんな、「下見て生きよう」みたいなことで解決する問題なのか…?という疑問がふつふつと湧き上がってくるのだ。

5月/嫉妬とヤバい女の子 | アパートメント

筆力のある人がウェブサイトを発表の場に使っているのがヤバすぎる気がします。