テレビ東京の強いところは『ガイアの夜明け』『カンブリア宮殿』『未来世紀ジパング』ではなく、「池干し特番」であり「もやサマ」であり「充電バイク旅」であるように思います。人が気がつかなかった所を攻める様はさながら奇襲作戦です。
少ない米粒をお粥にして嵩を増し、塩胡椒で味付けしてさらに薄く伸ばすけど、食味は失わないというサバイバル飯にも似ています。
ふつう、奇襲作戦は相手に悟られると同じ手は使えませんが、これでもかと繰り返す根性が他の局には足りないように思えてなりません。
『ガイアの夜明け』『カンブリア宮殿』『未来世紀ジパング』……そして選挙報道の「池上無双」。テレビ東京が面白いのは、バラエティだけではない! 数々の話題をさらった報道番組に携わったプロデューサーが、自らの体験を通して、テレビ東京のユニークな番組作りの舞台裏を明かします。お金も、人員も限られる中、どうすれば、巨大なライバルに立ち向かえるのか。スタッフたちは、常に頭をフル回転させて番組タイトル、企画の立て方、意外なキャスティング、さらには新聞の番組欄のコピーの一字一句に至るまで、工夫を凝らし続けます。そのアイデアの源泉には、「他のやらない企画(コンセプト)こそ宝の山」「釜爺の法則で立ち向かう」「あえて〝苦手〟に手を出す」など、強い競合に直面した私たちビジネスパーソンにも大いに参考になる、勇気づけられるヒントがたくさんあります。さらには、池上彰さん、村上龍さんなど、テレビ東京の報道番組とは切っても切れない方々の発想は、どこが素晴らしいのか、面白いのかなどのエピソードも満載。テレビはどう作られるのか、も楽しく読める1冊です。