本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

#宇田智子「市場のことば、本の声」

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「市場のことば、本の声」宇田智子*1著(晶文社

お目当ての本を買いに行って、その本が見つからず、その代わりに傲然別のものを発見することがあります。セレンディピティというのだそうですが、古本屋には、偶然の出会いが満ちあふれています。

価値ある出会いに欠かせないのが本の価値に精通した目利きの店主です。モノがあふれる時代だからこそ、"自分だけが満足するもの”に出会いたいという欲求は反比例するように増えています。乾いた土に水を注ぐように、ものを知る喜びを届けてくれるのはこうした小さな店の主人なのかもしれません。

 

*1:1980年、神奈川県生まれ。2002年にジュンク堂書店に入社し、池袋本店で人文書を担当する。09年、那覇店開店にともない異動。11年7月に退職し、同年11月11日、那覇市第一牧志公設市場の向かいに「市場の古本屋ウララ」を開店。著書に『那覇の市場で古本屋──ひょっこり始めた〈ウララ〉の日々』(ボーダーインク、第7回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」を受賞)、『本屋になりたい──この島の本を売る』(ちくまプリマー新書)がある。現在、古本屋店主として働きながら、さまざまな新聞、雑誌に執筆活動を行っている。