「面従腹背」前川喜平*1著(毎日新聞出版)
一般の人にとって、官僚の仕事。とりわけ国家の中枢で働く人の生の声に触れることは希です。
守秘義務という枷もさることながら、巨大で精密な仕組みをスムーズに回転させていくには個人の感情は不要だからです。
仕込みを回すための全ての可能性に目配りをした文書の作成や根回し、すりあわせなど、最高学府レベルの頭脳に加え人脈、記憶力などをフル稼働させる必要があります。
常人には図りがたいたいへんな半生を乗り切って下野した人の心情をくみ取りながら、国を支える優秀な黒子たちの無念の思いを感じます。