「もっと深く知りたい!ニュース池上塾」池上彰 著(祥伝社)
ニュース番組の制作者は、視聴者像を中学1年生に想定しているのだそうです。
専門用語は使わないか、もしくはできるだけ平易な日本語に言い換えているのはそのためです。
それでも世の中の変化は激しく、伝える情報も断片的なものになりがちです。
しかし、平均的なニュースの持ち時間は一分半程度。
当然、基礎的な情報まで説明できる時間はありません。
"中学生にもわかる”という内容をめざしながらも、ニュースがわからない人があらわれるのはニュースの背景にある「なぜ」という疑問に答えきれていないからかも知れません。
「こどもニュース」のキャスターを長らく勤めた池上彰さんは、ニュースに躓く人たちの気持ちをよくわきまえています。
「常識としてあらかじめ知っていてもらわなくては困る」と考えるニュース制作のジレンマを考え抜いてきた経験と自信が、読者の心を鷲づかみしているようです。