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#ルチル・シャルマ「シャルマの未来予測 これから成長する国 沈む国」

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「シャルマの未来予測 これから成長する国 沈む国」ルチル・シャルマ 著、川島睦保 訳(東洋経済新報社

著者のルチル・シャルマは「世界の頭脳100人」に選ばれた著名アナリスト。

モルガン・スタンレーのチーフ・グローバル・ストラテジストで、世界的に注目された『ブレイクアウトネーションズ』著者の最新刊です。

新興国の動向を緻密に分析した前作は、大きな反響を呼びました。本作は人口構成や政治体制、産業政策、通貨など10の指標をもとに分析しています。

放送の仕事は世の中の大きなうねりを見極めた上で、個別の事象を掘り下げるのが中心になります。

今何が起きているのか、骨格にあたるものを見極める上で知識人による未来予測は力強い武器になります。世界情勢を見極めたい人の必読書だと思います。

 

結論を簡単に先取りすれば、次のようになる。

・まず経済危機の最悪期を脱し、国際的な金融市場やメディアの要警戒リストからも外れ、政治面では改革意識に燃えた民主的リーダーが登場すると、経済の持続的な成長が始まる。

・改革派リーダーによってビジネス環境が整備され、工場設備や道路、科学技術などへの生産的な投資が拡大すれば、供給サイドが強化されインフレも押さえ込まれる。

・しかし経済が豊かになると、民間の企業や個人が、高級品、特に海外の高級奢侈品を求めて借金を無秩序に拡大させるようになる。

・そうなると好景気もいよいよ終盤に近づく。こうしたバブル期を経て、海外からの借金の返済が徐々に滞るようになり、一部の大金持ちと一般の人々、中央と地方の経済格差が拡大する。・

その結果、政治的な不満が高じて、硬直化した旧体制が打倒され、再び新しいサイクルに向けた動きが始まる。

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