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#張江泰之「人殺しの息子と呼ばれて」

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「人殺しの息子と呼ばれて」張江泰之 著(日経BP社)

事件を起こした容疑者は事件が報道されたその瞬間から社会から容赦ない制裁を受けることになります。

制裁は容疑者にとどまらず、本来事件に関係のない容疑者の家族にまで及ぶことがあります。

容疑者とその家族の関係性が社会に十分に伝わらないことから起きる不安が非難に拍車をかけるかのようです。

事件を報道するマスコミは"警察発表をもとに"して、"事実を報道しているだけ"だと自己を正当化します。

しかし、そこに罠があり、その罠に図らずも落ちてしまう人がいて、二次被害ともいえる事件に光をあてる報道はごく稀です。

当たり前のように処理され続ける事件報道の現場に立ち、小さな違和感に気が付いたところからノンフィクションの書き手は、見逃されていた物語を掘り起こします。

フジテレビ系ドキュメンタリー「ザ・ノンフィクション」で主人公に密着した番組プロデューサーの本。

短絡的に善悪を求めがちな風潮に、立ち止まって息を整え冷静にものをみることの大切さを教えてくれます。

 

www.huffingtonpost.jp