「注文をまちがえる料理店」小国士朗*1 著(あさ出版)
2017年9月16日から18日の3日間限定でオープンした不思議な料理店があります。
六本木にオープンしたこの店は、ホールスタッフ(ウエイター)がすべて「認知症」を抱える人でした。
来店した客は、ウェイターに案内されてテーブルに着きます。
そしてここで不思議な体験をするのです。
ふだん、認知症の人と接したことがない人たちは、
接客を通じてあるがままの姿に触れ、一体感を得ることができるのです。
「介護する人とされる人」というありきたりな関係ではなく、商売というこれまで見なかったルートで福祉を考えることができるというのは新鮮な驚きです。
本書はプロジェクトの発起人である著者が当日の様子を、写真をふんだんに盛り込んで紹介したドキュメントフォトブックです。
この取り組みが一過性のイベントで終わらず、地域に広がっていくことを願わずにはいられません。
*1:2003年NHK入局。ディレクターとして「クローズアップ現代」「NHKスペシャル」「プロフェッショナル 仕事の流儀」などを制作。NHK制作局 開発推進ディレクターとしてコンテンツのプロモーションやブランディング、デジタル施策を企画立案する部署で、ディレクターなのに番組を作らない”一人広告代理店”的な働き方を始める。主な企画に、150万ダウンロードを突破した「プロフェッショナル 仕事の流儀」のアプリの企画開発や福祉番組「ハートネットTV」と連動しながら社会課題の解決を目指す「ソーシャルグッドプロジェクト」などの他、個人的プロジェクトとして、認知症の人がホールスタッフをつとめる「注文をまちがえる料理店」などを手掛け話題となる。2018年6月をもってNHKを退局し、フリーのプロデューサーに。