本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

#成毛眞「amazon 世界最先端の戦略がわかる」

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amazon 世界最先端の戦略がわかる」成毛眞 著(ダイヤモンド社

「アマゾン日本法人からの税収がたった11億円しかない」と新聞が報じていました。

ちょうど本書を読み終えたところでしたので驚きません。

日本の倉庫や物流は経営の中核ではなくあくまで道具にすぎない。消費者にモノを売っている主体は海外にある本社である。というのがアマゾンの商売。というか国境を越えたネットワーク産業の本質だからです。

「アマゾンが一人勝ちの世界がまもなくやってくる」という預言書といえる本です。

著者は一世を風靡したマイクロソフト社日本取締役社長だった人です。

ネットワーク産業という”同業他社"で働いた人だからこそが持つ視点で、"巨大通販業者"の姿を浮き彫りにします。

著者はアマゾンをローマ帝国に例えて描きます。

中でも膝を叩くようなわかりやすいたとえが兵站重視の戦略です。

兵站とは補給路のこと。

本書では最終目的地である消費者の元に最短で割安なルートにこだわるアマゾンの経営理念が様々な視点から明らかにされます。

また、類書ではあまり触れられていないのがアマゾンの所有する巨大サーバーの存在です。AWS(アマゾンウェブサービス)と呼ばれる、いわゆるレンタルサーバー業が、世界の企業にとってなくてはならない存在になりつつある話は、言いしれぬ不気味さを感じさせてくれます。

「あなたの知らない"アマゾン"の世界」というタイトルをつけたくなる本です。