本屋は燃えているか

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#三浦展「『ヤバいビル』 1960-70年代の街場の愛すべき建物たち」

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「『ヤバいビル』 1960-70年代の街場の愛すべき建物たち」三浦展 著(朝日新聞出版)

最近はやりの「ヤバい」という言葉には様々な意味があります。

年配の人は、ヤクザものを見て感じるような「危険」を連想します。

若者たちの間では、「危険」というよりも「すごい」という意味合いや、「しまった」といった感情を伝える”万能語”と言えるのかも知れません。

この本は、年配の人たちが若い頃接したであろう最先端の建築物を取り上げています。

木造モルタルの平屋や低層階アパートなど、都会の空がまだ広かった時代に、竹の子のように建てられた建造物。

街の景観を大きく変えた建造物を、目の当たりにした人たちは、「すごい」と同時に、なにか不安で「危険」な印象を持ったはずです。

タイトルに綴られた言葉が世代を超えて読者をつなぐ働きをしているような本です。