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#深堀隆介「深堀隆介作品集 平成しんちう屋」

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深堀隆介作品集 平成しんちう屋」深堀隆介 著(求龍堂

金魚にこだわった作品を作り続けるアーティストの作品写真集です。

透明なセル画をいくつか重ね動きを生み出すのがアニメーションの原理です。最下層に動かない背景を置いて、その上に人物、さらにその上に人物の表情を表す目や口、手の動きなどを重ねます。レイヤーと呼ばれる仕組みは絵を層のように積み重ねるもの。深堀さんの作品作りはレイヤーを意識した作りそのものです。

 

アニメのセルの代わりをしているのがアクリルという樹脂です。樹脂を薄く広げ金魚の絵を書きます。ここで描かれた金魚は病院のCTスキャナーで撮影されたような輪切りの金魚。その金魚を何層にも描き足して行くと立体的な金魚が現れるという魔法のような作品です。

写真集である本書は立体造形である深堀さんの魅力を十分伝えるまでには行っていませんが、細部の微妙な違いを描き出す息を止めるような緊張感が押し寄せて来るのを感じます。