「高円寺文庫センター物語」のがわ★かずお 著(秀和システム)
2010年に閉店した25坪の小さな書店。
若者文化の集まる街として知られる高円寺。
漫画家やミュージシャンなどクリエイティブ系の人たちの間で揉まれながら育てられた書店のクロノロジーです。
2000年前後のン年間。忌野清志郎をして「日本一ROCK」な本屋が高円寺にあった。街角の小さな本屋が、サブカルの街で輝いていたあのころの物語。
荻窪、阿佐ヶ谷、高円寺・・・中央線沿線は当時、家賃や交通の便、生活環境などの条件が整い、学生を中心とした若者たちの人気を集めました。
学生が集まると当然のようにサブカルチャーが育ちます。梁山泊のような自由奔放な無法地帯がサブカルチャーの温床となり様々な伝説を生み出して行きました。
「俺に過去などないぜベイビー」
当時は若さに任せて暴れまくった若者たちも、時は移ろい、髪に白髪が目立つようになるとふと恋しくなるものがあります。
それは思い出。
輝いていたあの頃。
当時は最先端だったサブカルチャー。
時には国家権力に公然と向き合った反体制の振る舞いすらも今や守るべき思い出となってしまったことを改めて感じる一冊です。
「僕は才能があったわけではない。あるとしたら、みんなをプロデュースする力。リーダーの資質ってビジネス書で簡単に身に付くものじゃない。実践で身に付くものだから。君が居ないと困るよ、君がやってくれないと…という感じでやっていくと自然にみんなが参加してくれるようになるんだ」
今ならば多分舞台は渋谷とか練馬、アニメーションやスタートアップ企業のシェアハウスあたりが舞台なんだろう。
新しい伝説は新しい場所から生まれる予感を感じました。