本屋は燃えているか

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#芸人先生「NHK 芸人先生 ~コミュニケーションの達人「お笑い芸人」に学ぶビジネス基礎講座」

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NHK 芸人先生 ~コミュニケーションの達人「お笑い芸人」に学ぶビジネス基礎講座」NHK「芸人先生」制作班(宝島社)

笑いの陰に真理あり

数を作ることが高クオリティに繋がる。

数を作ることで捨てることにもためらいがなくなる。

お笑い芸人バイきんぐの言葉です。

本書のトップに登場するバイきんぐ。

テレビの人気者になった彼らにも売れない下積み時代がありました。

自分たちにできることはネタを作り続けるしかないと、

仕事とアルバイトの合間をみてはネタを作り続けたのだと言います。

ネタの数は人に負けないほど作ったと言う彼らが到達した世界が

ネタを捨てることだったと聞いてびっくりしました。

せっかく作ったネタはもったいなくて捨てられないのが人情ではないかと思ったからです。

しかし、彼らの話を聞いて納得しました。

ウケるネタは数の中から現れる。

ウケなかったネタに引きずられていると

気を取られて数を書くことができなくなるからだと言うのです。

商品としての芸を楽しむことも面白いですが、

作り手が苦心の末到達した心境に耳を傾ける方が数倍面白い。

そんな発見がありました。

自分の身は自分で守る時代

働き方改革」を真に受け止めたら損します。

ブラックな労働環境の改善が狙いではないからです。

企業にとって過労死するまで社員を使い倒すメリットはありません。

有能な人材はどんどん流動化しています。

必要な時に必要な人材をしっかり確保した方が効率がいいのです。

雇う側は大きく変わっています。

終身雇用性を見直す企業。

社宅の廃止など福利厚生を見直す企業。

副業を認める企業。

昭和の時代には考えられなかった制度改革に取り組む企業が増えています。

その理由は企業を取り巻く環境が大きく変わっていること。

AmazonGoogleが象徴する世の中の動きは、これまでの企業のありようを大きく変えています。

誰もが知っていた大企業が突然目の前から消え去るのが当たり前。

昔のように定年まで人を雇える余裕はないのです。

終身雇用を守る企業の中には、

「40代までのベースアップは保証する」と宣言した会社がありました。

しかしこの言葉には40代以上の待遇については何も語られていません。

中高年の待遇は落とすと理解すべき発言です。

ある程度働いてくれたら、別の収入源を探しても構わない。

その代わりこれまでのような面倒は見られない。

社宅は廃止するし、副業も認めるから、自分で自分のことを考えてね・・・。

企業の本音はそこにあります。

ではどうやって自分の身を守って行ったらいいのか。

答えは芸人にあるというのがNHKの企画なのです。

芸人が出るからバラエティ。

そう単純に見ただけでは、この企画の面白さを十分に味い尽くしたことになりません。

自分の能力をどう高め、どう売るか。

そこに気づいて行動に移せる人だけが答えを知っています。