「寄付をしてみよう、と思ったら読む本」 著 渋澤健、鵜尾雅隆 著(日本経済新聞出版社)
月々千円の国際活動
数年前のこと。街を歩いていたら呼び止められました。
呼び止めたのは「国境なき医師団」の担当者。
赤い羽根の募金のように支援を募る呼びかけです。
募金かなと思って話を聞くと寄付だと言います。
月々千円から募金ができるのだと聞いて寄付をすることにしました。
金銭的に余裕があるからではありませんでしたが、
国境なき医師団の取り組みは兼ねてから関心があったからです。
途上国や紛争地域に医師を派遣し地域住民の医療活動を行う組織です。
変な宗教や催眠商法ではないことは折り紙つきです。
この本のタイトルも「寄付をしてみよう」
その時の気持ちが蘇りました。
医師団への寄付を初めて自分の気持ちに変化がおきました。
これまで気に留める事がなかった国際情勢の変化に注意が向くようになりました。
政治の動きもさることながら、危機的な状態にある地域の風景や暮らし、人の顔が浮かぶようになったのです。
それは自分がそこにいたらどんな目に合うのか。会わないで済むためにはどうしたらいいのか。そんな身の丈レベルの想像力が生まれたのです。
寄付をすることは単なる金の問題ではなく想像力を産むことだと言うことに気づいたのです。
医師団が直面する事態は深刻です。
寄付をしたからといってそれ以外なんの手助けもできません。
しかし、陰ながらの応援をすることはできます。
陰ながらの応援もまとまった数になったら大きな力を発揮するはずです。
未来の自分を信じること、何もして来なかった自分を免罪すること、「未来への一票」と言う本書のコピーは単純だけどすごく意味のある言葉です。