「おひとりさま専用Walker これは、ひとりで読んでください。 ウォーカームック」(KADOKAWA)
「レジャー雑誌のターゲットは仲間や家族、カップルや職場といった"相手がいる人たち"だったはず」
そんな思い込みが音を立てて崩れ去るような特集企画です。
クリスマスと言うイベントや、宴会シーズンを迎え、出版社にしても需要がメジャーな方に視点が向きます。
そんな中、正反対の読者層を狙った企画を、街歩き企画の老舗「東京ウォーカー」が打ち出しました。
「ひとりで読んでください。」とコピーはまさに逆張りです。
誰かと行くことを前提とした企画はそれなりの需要はあるかもしれないけれど、それを選ばないという人も増えていて、それなりの需要も実はあるのではないか。
企画からは未開の土地を開拓するような匂いを感じます。
なるほど、仲間と語らいながら街歩きを楽しむ人は多いかもしれませんがすべてではありません。
一人の立場に立って見るとよくわかります。
誰かがいれば行くけど、一人ではなかなかいけない場所がある。
楽しみの輪に入れない疎外感や、一人でいることに対する格差感を感じる人がいる。
理由は様々ですが、一緒に楽しむと言う視点が際立てば立つほど一緒でない人たちの存在が見えなくなります。
そこに大勢の読者がいたとしても、見ようとしない限り読者はいないままなのです。
しかし、世の中の繋がりはどんどんパーソナルなものに変化しています。一緒に街を歩くではなく、一人で街を歩くと人称を変えただけで世界のあり方、世界観ががらりと変わるような驚きを感じました。
「誰かと過ごすことを前提とした"ウォーカー"に疲れた。疑問を感じた」編集者自らが気づいた企画は人にも伝わる強さを持ちます。