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本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

5月の「このマンガがすごい」ランキング・オトコ編

ランキング コミック

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1「バイオレンスアクション」浅井蓮次 画、沢田新 作(小学館

暴力団抗争の行き違いから、組に家族を殺された拷問専門の[医者]。[医者]は復讐を誓い、組潰しを「殺し屋派遣業」に依頼する。派遣されたのは[簿記専門学校生]の[女子]。彼女こそ指名NO.1の凄腕ヒットガール。名前は――[ケイ]。

バイオレンスアクション(1) (ビッグコミックススペシャル)

バイオレンスアクション(1) (ビッグコミックススペシャル)

 

 

2「ヒストリエ岩明均 著(講談社

エウメネスは、アテネ近郊・ピレウスで懐かしいカロンとの再会を果たした後、進軍してきたマケドニア軍と合流する。マケドニア軍は、強国テーベからの援軍を得たアテネ軍と対峙。場所はギリシア中央部カイロネイア。ギリシアの覇権をめぐり、史上名高い「カイロネイアの戦い」が始まる!

 

3「不滅のあなたへ」大今良時 著(講談社

彼に“フシ”と名前をつけたのは、オニグマ様への捧げ物に選ばれたニナンナの少女マーチ。少女たちと共にヤノメに囚われたフシはママになることを夢見るマーチの側で刺激を受けながら成長していく。そんな中、マーチを助けるために少女パロナはヤノメからの脱出計画を練っていた。希望を抱く少女たちからフシは一体何を獲得するのか。これは自分の未来を選択する物語。

 

 

4「ウムヴェルト 五十嵐大介作品集」五十嵐大介 著(講談社

『ディザインズ』『リトル・フォレスト』『海獣の子供』などで絶対的な支持を獲得している五十嵐大介の作品集、待望の登場! 2004年から2014年にかけて描かれた短編は、「この世界のどこかにいる、かもしれない」──そんな「未確認生物」をモチーフとした珠玉の10タイトル。『ディザインズ』の原型となる読み切り『ウムヴェルト』も網羅し、五十嵐大介の環世界が惜しみなく放たれた1冊!

 

 

5「実は私は」増田英二 著(秋田書店

考えていることが顔に出てしまう体質の男子高校生・黒峰朝陽は、ミステリアスでクールな美人のクラスメイト・白神葉子に恋をする。しかしある日、朝陽は葉子の正体が、じつは吸血鬼であることを知ってしまい、その秘密を守るため彼女と友だちになるのだが、朝陽の毎日はその日から一転し……!?

実は私は 22 (少年チャンピオン・コミックス)
 

 

6「CITY」あらゐけいいち 著(講談社

『日常』から『CITY』へ。南雲が走ればCITYは回る、皆が繋がる。あらゐけいいちワールド全開のガールズ・ラン・コメディ第2巻!

CITY(2) (モーニング KC)

CITY(2) (モーニング KC)

 

 

7「クズの本懐横槍メンゴ 著(スクウェア・エニックス

歪(いびつ)な恋の先に見つけた、私たちの――「本懐」。花火(はなび)、麦(むぎ)、茜(あかね)、鳴海(なるみ)、早苗(さなえ)、モカ。絡まりあった赤い糸は、切れて解(ほど)けて結ばれて、それぞれに新たな糸を紡ぎだす。不器用すぎた彼らが、歪な恋の先に見つけた「本懐」とは――。誰よりも純粋で誰よりも歪んだ純愛ストーリー、ついに完結。

 

 

7「ディザインズ」五十嵐大介 著(講談社

自然界を超越した異形の生物──HA(ヒューマナイズド・アニマル)。それは遺伝子を”設計”された、ヒトと動物とのハイブリッド。HAが備える驚異的な身体能力は、野心を抱く人々の策略によって殺りくの現場へと投入され、その真価を発揮していく。ヒトは何のためにこの異形をデザインしたのか──その背景には、人類の未来へとつながる壮大な計画が横たわっていた! 様々な陰謀さえもからみあう衝撃の第2巻、登場!

ディザインズ(2) (アフタヌーンKC)

ディザインズ(2) (アフタヌーンKC)

 

 

 

9「BLUE GIANT SUPREME」石塚真一 著(小学館

止まるわけにはいかない宮本大は、
単身ヨーロッパに渡る。
降り立ったのはドイツ・ミュンヘン
伝手も知人もなく、ドイツ語も知らず、
テナーサックスと強い志があるだけだ。
「世界一のジャズプレーヤーになる・・・!!」
練習できる場を探すところから始まる挑戦。
大の音は、欧州でも響くのか―――

 

 

10「ファイアパンチ藤本タツキ 著(集英社

ベヘムドルグから逃走する民たちを率いる通称“お頭”は、追手の兵に応戦するが劣勢に。しかし突如現れた謎の槍使いの女と仮面の男が加勢し戦況は一変する。一方アグニは、彼を崇拝する者たちのため再びある行為を余儀なくされ!?

 

 

欲望の資本主義

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「欲望の資本主義」丸山俊一 著(東洋経済新報社

大反響のNHK経済教養ドキュメント『欲望の資本主義』、待望の書籍化!未放送インタビューも多数収録した拡大版。

放送時間の制約があるテレビ番組では、関係者のインタビューは構成部分の論拠を補強するための抑えとして使われます。印象的な数秒の発言を導くために使われた残りのインタビューは編集段階でカットされます。それではあまりにももったいないと、未放送の素材を丹念に洗い直し、再構成して出版化することも増えてきました。これをメディアミックスといいますが、平たく言うと素材の使い回しです。

インタビューを活字に起こすと情報量はさほど多くありません。しかし、テレビ番組ではインタビューをしっかり録ることは番組の成否に関わる意味を持ちます。それは肉声の持つリアリティです。発言者の思いが肉声の強弱となって聞き手の心を揺さぶるからです。

経済学者の安田洋祐と世界経済のトップランナーたちとの対談でNHKで放送されたものが元になっている。ノーベル経済学賞受賞のスティグリッツ、24歳でチェコ大統領の経済アドバイザーになったセドラチェック、ベンチャー投資家のフォードの3人が本書の主人公である。

欲望の資本主義

欲望の資本主義

 

 

シブヤまなぶではない。渋谷学

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「渋谷学」國學院大學研究開発推進センター渋谷学研究会 編(弘文堂)

年代によって異なる青春の思い出の名所、ダンジョン化した渋谷駅、都市の顔に隠れた意外な一面など、誰かに話したくなる、とっておきの渋谷を豊富な写真で紹介します。渋谷の変遷を見れば日本文化の歴史がわかり、日本の未来が見えてきます。

 渋谷区は、23区の中で江戸川区と並んで“郷土資料館”を持たない区なのだそうです。歴史という文化の根を持たず、情報は発信するだけ。渋カジだとかコギャル文化とか、華麗でどこかフェイクな花々が咲き誇るところに渋谷区の特異性が感じられます。

複雑なダンジョンにも例えられる渋谷駅。その駅にも似て渋谷は多様な価値観が入り交じった街です。2002年、地元の國學院大學で開講したのが、渋谷を科学的に論じていこうという「渋谷学」です。アプローチの仕方は様々で、不思議な街の全貌を明らかにしようという発想が新鮮です。

渋谷を“科学”するオトナたち 「渋谷学」って何だ? - シブヤ経済新聞

渋谷学

渋谷学

 

 

絶賛の評価集める 学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで

急な動きを見せている本。

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学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで岡田麿里 著(文藝春秋) 

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話題を呼んだアニメ「あの日みた花の名前を僕達はまだ知らない。」「心が叫びたがってるんだ。」。実は、そのアニメの脚本を書いた岡田麿里自身が小学校で学校に行けなくなっていたのです。これは、母親と二人きりの長い長い時間をすごしそして「お話」に出会い、やがて秩父から「外の世界」に出て行った岡田の初めての自伝。

アニメ本といっても取り扱う書籍は、グラフィック関係や作家論、シナリオ術といった制作者側から見たアニメ関連書籍の品揃えに気を遣う書店です。これは当たるだろうと、少し多めに入荷したのが脚本家・岡田麿里さんの自伝です。今朝のおはよう日本で企画が組まれたこともあり、かなりの勢いで動き始めました。

特徴的だったのは、報道番組や文化・福祉の担当者からも引き合いがあったことです。これは社会問題として著者の自伝が評価されていることを示します。著者の代表作2点は絶望的な思春期に遭遇した人の物語です。自分を見失い、生きづらさに悩む人々は、人間を描くことを生業とする放送局員にとって描き方だけでなく接し方も含め、丁寧に扱わざるを得ない取材対象です。

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語ることで救われる

放送では、学校に行けなくなった頃の体験が本人口から語られていました。(人に心を開く意味での)声を失い、母親との関係に悩みという体験は創作ではなく経験であるところに、事実の重みを再確認させられます。高校時代と思われる著者の写真を見ると、彼女が被った体験が伝わってくるような気がしました。経験を作品にすること、つまり自らをさらけ出すことで彼女自身が救われたわけです。

2作品が観客の心を打ったのは、商品としての脚本を作り出すという目的の奥底に、救いという自分自身のテーマがあったからなのでしょう。本書の目次を見ると、その体験を伝えることで同じ悩みに直面する人を救いたいという思いが伝わってくるような気がします。

アニメ担当者の話では「終了したばかりのアニメシリーズの脚本が炎上していて気の毒だ」という状態だそうです。暗い井戸の中に降りていって水を汲んで戻ってこれる希有な脚本家だけに気になります。本書も炎上の素材に上げられていると聞きましたが、制作者の間では高い評価を集める本になりそうです。

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週刊文春書評ほか

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男であれず、女になれない

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「男であれず、女になれない」鈴木信平 著(小学館

第23回小学館ノンフィクション大賞に、まさかの「自分自身を取材したノンフィクション」が送られてきました。選考会では、「これはノンフィクションといえるのか」「第三者への取材を行なうべきではないか」など、さまざまな意見がでましたが、選考委員の感想に共通したのはただひとつ。「それでも、この作品は面白い」

 自分自身を取材したノンフィクションとは”私小説”ではないのか?と思っていたら「私小説として発表されるべき。しかし、“自分を題材としたノンフィクション”という目新しさが面白い」と社会学者・古市憲寿さんも同じ疑問を抱いていたようです。ジャンル分けの整合性と作品の面白さとどちらを選ぶか問われたら、作品の面白さが優先されるべきだと思いますが、国境を破壊するような動きが話題になるところに今日性があるような気がします。装丁デザインはクラフト・エヴィング商會

男であれず、女になれない

男であれず、女になれない

 

 履歴|「男であれず、女になれない」 ~それでも、ハッピー量産体制~

ananの噓

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「ananの噓」酒井順子 著(マガジンハウス)

 an・anにダマされて、女は大人になる。創刊から45年。アンアン2000号までを振り返る!巻末スペシャル対談:江原啓之さんと語る、「アンアンの嘘」のホント。

2016年4月13日(水)発売号で女性ライフスタイル誌『an・an』は通巻2000号を迎えました。こうした記念号は振り返り企画で埋め尽くされます。記念号の内容もそれでした。しかし、多少の浮沈はありながらも高度成長からバブル、そして現代と46年間にわたって発行されてきた雑誌の重みは十分に伝わってきました。

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雑誌の創刊から2000号までの道のりを、酒井順子さんが1年半にわたってたどったエッセイ。日本女性の生き方の変遷や、女性誌の歴史を読み解くキーワードは「嘘」という視点は同性でなければなかなか書けるものではありません。

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それにしても地下鉄・表参道駅で展示された46年分の表紙は壮観な眺めです。

ananの?

ananの?

 

 

週間ベスト10

ランキング

ランキングです。 

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東京堂書店神田神保町店調べ(4月4日)

 

1「遠く海より来たりし者」暖あやこ 著(新潮社)

その孤島は古い手記どおりに実在した。不都合な真実を瓦礫の下に埋もれさせたまま。カブトガニの青い血液を用いた新薬開発。そして重大な副作用の発生。その爪痕は、海に囲まれた実験場の破壊だけでは消滅しなかった…。ジレンマとはまそにこのこと。新薬はすでにわが社の主力商品なのだ。社史の不可解な空白の理由を知ったからにはただでは済むまい…。海の力が古い手記を生き残らせたように、海辺の現代生物は人類を進化させるのだろうか…。

遠く海より来たりし者

遠く海より来たりし者

 

 

2「あの頃 - 単行本未収録エッセイ集」武田百合子武田花 著(中央公論新社

生前出版した作品集以外は、決して書籍にしないこと。そう言い残して亡くなった武田百合子。『富士日記』『犬が星見た』など、没後25年を過ぎてなお読者を魅了し続ける希有な随筆家・武田百合子の単行本未収録作品をこのたび初めて1冊にまとめる。編者は一人娘であり、写真家の武田花

 

3「ゲンロン0 観光客の哲学」東浩紀 著(株式会社ゲンロン)

否定神学マルチチュードから郵便的マルチチュードへ――。
ナショナリズムが猛威を振るい、グローバリズムが世界を覆う時代、新しい政治思想の足がかりはどこにあるのか。
ルソー、ローティ、ネグリドストエフスキー、ネットワーク理論を自在に横断し、ヘーゲルパラダイムを乗り越える。
著者20年の集大成、東思想の新展開を告げる渾身の書き下ろし新著。

ゲンロン0 観光客の哲学

ゲンロン0 観光客の哲学

 

 

4「勉強の哲学 来たるべきバカのために」千葉雅也 著(文藝春秋

人生の根底に革命を起こす「深い」勉強、その原理と実践。勉強とは、これまでの自分を失って、変身することである。だが人はおそらく、変身を恐れるから勉強を恐れている。思想界をリードする気鋭の哲学者による本格的勉強論。

勉強の哲学 来たるべきバカのために

勉強の哲学 来たるべきバカのために

 

 

5「美しいものを (花森安治のちいさな絵と言葉集) 」暮しの手帖編集部 編(暮しの手帖社

初代編集長からの贈りもの。暮しの手帖を彩った挿画500点&珠玉の言葉。初の挿画集。

 

 

6「中動態の世界 意志と責任の考古学」國分功一郎 著(医学書院)

自傷患者は言った「切ったのか、切らされたのかわからない。気づいたら切れていた」。依存症当事者はため息をついた「世間の人とは喋っている言葉が違うのよね」
――当事者の切実な思いはなぜうまく語れないのか? 語る言葉がないのか? それ以前に、私たちの思考を条件付けている「文法」の問題なのか?
若き哲学者による《する》と《される》の外側の世界への旅はこうして始まった。ケア論に新たな地平を切り開く画期的論考。

中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)

中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく)

 

 

7「デザインってなんだろ?」松田行正 著(紀伊國屋書店

デザインを知ること、歴史を知ること―― ブックデザインの世界を颯爽と駆け抜けてきた著者が、 長年の経験と博覧強記の知識を駆使して、デザインや 美的感覚が、そもそもどのように形成されていったか、 歴史の糸をときほぐしつつ解説する渾身のデザイン論。 混迷する文化状況を俯瞰し、その行く末を占う読み物 としても楽しめる、基礎教養が詰まったコンパクトブック。

デザインってなんだろ?

デザインってなんだろ?

 

 

8「百年の散歩」多和田葉子 著(新潮社)

わたしは今日もあの人を待っている、ベルリンの通りを歩きながら。都市は官能の遊園地、革命の練習台、孤独を食べるレストラン、言葉の作業場。世界中から人々が集まるベルリンの街を歩くと、経済の運河に流され、さまよい生きる人たちの物語が、かつて戦火に焼かれ国境に分断された土地の記憶が立ち上がる。「カント通り」「カール・マルクス通り」他、実在する10の通りからなる連作長編。

百年の散歩

百年の散歩

 

 

9「関東戎夷焼煮袋」町田康 著(幻戯書房

故郷喪失の悲しみから、上方のソウルフード、うどん、ホルモン、お好き焼、土手焼、イカ焼を拵え、これを食すことで見えた宇宙。革命ではない。維新でもない。もちろん自由や平等でもない。愛などという眠たいものでもない―大坂の魂を取り戻す、ビルドゥングスロマン

関東戎夷焼煮袋

関東戎夷焼煮袋

 

 

10「創作あーちすと NON」のん 著(太田出版

のん(女優、創作あーちすと)の、特大スケールの世界観が丸ごと楽しめる、ファン必携の1冊。アクションペインティング、オリジナルドレス制作、憧れの方たちとの対談から、故郷への撮影旅行まで。

創作あーちすと NON

創作あーちすと NON