本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

北欧・フィンランドの人気者、マッティ登場

「満員電車?ムリムリ」「ひっそり暮らしたい」「ユーウツは愛おしい」・・・どこか私たちの感性をくすぐるキャラ。マッティとは誰なのか?

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神保町にある東京堂書店2階フロアで、不思議なキャラクターを発見しました。一見、ゆるキャラのようですが、昨年フィンランドで爆発的な人気となったコミックに登場するフィンランド人なのだそうです。

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「マッティは今日も憂鬱」カロリーナ・コルホネン 著(方丈社)

主人公マッティは典型的なフィンランド人。シャイで人見知り。
静けさと平穏、そしてパーソナル・スペースをなにより大切にしています。

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でもそんな彼のまわりでは、ちょっぴり「憂鬱」なことばかり起こります。

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そのシチュエーションの数々は、きっと、あなたもうなずいてしまうことばかり。もし、マッティに共感できたら、あなたの中にも「小さなマッティ」がいるのかもしれません。

出版したのは書店のそば、魚料理の老舗「魚玉」の二階に2016年設立したばかりの出版社です。

twitter.com

小さな出版社なので書籍の宣伝にも限度があります。チラシを眺めると出版社の努力が伝わってきます。f:id:tanazashi:20170628125833p:plain

 

やさしい文体からは遠い北欧がすこし身近に感じられるます。

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自分の心の声に正直でありたい・・・できそうでできないことです。

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コミュ症気味なところは、どこかわたしたちに似ている気がしてなりません。

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マッティ(フィンランド人) (@matti_tokyo) | Twitter

フィンランド的な生活は若い女性の憧れの的。そんな読者層を中心に好意的な反応が寄せられているところに手応えを感じます。ひよっとしたらブレイクするような気がします。 

マッティは今日も憂鬱

マッティは今日も憂鬱

 

 

 

 

東京 わざわざ行きたい街の本屋さん

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「東京 わざわざ行きたい街の本屋さん」和氣正幸 著(ジービー)

東京には、個性豊かな“街の本屋さん"がたくさんあります。 工夫を凝らした棚作り、見た人がワクワクできるラインナップ、ほっと落ち着ける空間、本の魅力をより多くの人に伝えるイベント……。 その街の風景になじみ、地元の人々に愛されながら、唯一無二の魅力を持つ存在。本書では、そんな東京の“街の本屋さん"を、エリア別に130店紹介したガイド本です。 160ページ、オールカラーで写真と地図付き。すべてのお店の外観写真と、目印になるものも紹介しているので、道に迷うことなくたどり着けます。 本書を片手にぜひ、本屋めぐりを楽しんでください。

ふつう、東京の本屋ガイドは、雑誌の企画として「ブルータス」や「OZマガジン」、「散歩の達人」などで取り上げられます。大規模書店と違って街の本屋は個性的なセレクションをしているところが多く、行ってみると思わぬ本を発見することがあるのです。(大規模書店にも在庫はないわけではないのですが、大量の本の中に埋もれていて探すだけで疲れてしまいます)

雑誌の特集記事は、破り取って持ち歩くわけにも行かず、コピーして持ち運ぶのにも手間がかかるので、結局気になる書店をメモして行くことになります。ガイド本は、散歩のように街の本屋を訪ねるとき役に立つので、本好きにお奨めします。(古い本は店がなくなっている場合がおうおうにしてあります)  

わざわざ行きたい街の本屋さん (@machihon0616) | Twitter

 

私、子ども欲しいかもしれない。:妊娠・出産・育児の〝どうしよう〟をとことん考えてみました

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「私、子ども欲しいかもしれない。:妊娠・出産・育児の〝どうしよう〟をとことん考えてみました」犬山紙子 著(平凡社

「子ども欲しいけど、実際どうなの?」人気コラムニストが
育児体験者の話を聞いて考える、「出産・育児」のリアル。
保活、育児分担、二人目問題…母親の本音炸裂!

育児体験記は山のように出版されていて、当事者の悲喜劇は類型化されているようでいて、されていないのが人気の秘密なのでしょう。棚差しするとき「ママテン」を並べようかと思ったという書店員の気持ちは良くわかります。 

ママはテンパリスト 1

ママはテンパリスト 1

 

気になるのは、育児周辺の切実な話題が世代を超えて広がらないことです。子育て中の女性制作者を、その上司に当たる女性管理職が"あの程度のことで"という目線で見ていたことを思い出します。同性は同性に対して厳しい。同性の苦境を改善しようという気持ちは、どうやら年齢とともに消え去っているような気がしてなりません。 

私、子ども欲しいかもしれない。:妊娠・出産・育児の?どうしよう?をとことん考えてみました

私、子ども欲しいかもしれない。:妊娠・出産・育児の?どうしよう?をとことん考えてみました

 

 

週間ベスト10 2017.06.27

ランキングです

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東京堂書店神田神保町店調べ(6月27日)

 

1「東京 わざわざ行きたい街の本屋さん」和氣正幸*1 著(ジービー)

エリア別に130店紹介したガイド本です。 160ページ、オールカラーで写真と地図付き。すべてのお店の外観写真と、目印になるものも紹介しているので、道に迷うことなくたどり着けます。 

www.wantedly.com 

tanazashi.hatenablog.com 

 

2「散歩本を散歩する」池内紀 著(交通新聞社

月刊『散歩の達人』の連載「散歩本を散歩する」が書籍化します!
小説・随筆・地図・研究書など、主に東京を舞台としたさまざまな時代・ジャンルの本を「散歩本」とし、ドイツ文学者・エッセイストの池内氏が本に登場する街やスポットを訪ねるエッセイです。池内氏による、著者や本が書かれた時代背景についての解説も魅力で、散歩好き・本好きのかたにぜひオススメしたい一冊です。

散歩本を散歩する (散歩の達人POCKET)

散歩本を散歩する (散歩の達人POCKET)

 

 

3「日本の覚醒のために──内田樹講演集」内田樹 著(晶文社) 

グローバリズムに翳りがみえてきた資本主義末期に国民国家はどこへ向かうのか?これからの時代に宗教が担う役割は? ことばの持つ力をどう子どもたちに伝えるか?
戦中派世代の経験から学ぶべき批評精神とは? 憲法をめぐる議論から
浮かび上がる政権劣化の諸相……日本をとりまく喫緊の課題について、
情理を尽くして語った著者渾身の講演集。
沈みゆくこの国に残された希望の在り処とは?

日本の覚醒のために──内田樹講演集 (犀の教室)

日本の覚醒のために──内田樹講演集 (犀の教室)

 

 

4「書のひみつ」古賀弘幸 著(朝日出版社

書には、千年前を生きた人の「心」が宿っている。王羲之空海良寛漱石―奥深い歴史を知れば、文字を見ること・書くことが楽しくなる。まったく新しい「書」入門!

書のひみつ

書のひみつ

 

 

5「わがクラシック・スターたち 本音を申せば小林信彦 著(文藝春秋

渥美清植木等、喜劇人たちの素顔から、ニコール・キッドマン礼賛、定点観測する夜のラジオまで。「週刊文春」好評エッセイ19弾。 

わがクラシック・スターたち 本音を申せば
 

 

6「ゲンロン0 観光客の哲学」東浩紀 著(ゲンロン)

否定神学マルチチュードから郵便的マルチチュードへ――。
ナショナリズムが猛威を振るい、グローバリズムが世界を覆う時代、新しい政治思想の足がかりはどこにあるのか。
ルソー、ローティ、ネグリドストエフスキー、ネットワーク理論を自在に横断し、ヘーゲルパラダイムを乗り越える。
著者20年の集大成、東思想の新展開を告げる渾身の書き下ろし新著。

ゲンロン0 観光客の哲学

ゲンロン0 観光客の哲学

 

 

7「町を歩いて本のなかへ」南陀楼綾繁 著(原書房) 

本にみちびかれ、ときには本に埋もれそうになりながら、東へ西へ、今日から明日へ。ブックイベントの現場から見えてくること、多様化する本の場所、本が取り持つ縁など、ルポ、書評、エッセイを集大成したヴァラエティな一冊。

町を歩いて本のなかへ

町を歩いて本のなかへ

 

 

8「月の満ち欠け佐藤正午 著(岩波書店

新たな代表作の誕生! 20年ぶりの書き下ろし
あたしは、月のように死んで、生まれ変わる──目の前にいる、この七歳の娘が、いまは亡き我が子だというのか? 三人の男と一人の少女の、三十余年におよぶ人生、その過ぎし日々が交錯し、幾重にも織り込まれてゆく。この数奇なる愛の軌跡よ! さまよえる魂の物語は、戦慄と落涙、衝撃のラストへ。

月の満ち欠け

月の満ち欠け

 

 

9「パーマネント神喜劇万城目学 著(新潮社)

デートの途中、突然時が止まった。動かない街に現れたのは、「神」と名乗る見慣れない二人の男。ペラペラまくしたてる二人に肩を叩かれ戻った世界は、あれ、何かが違う……?
面白さ、神話級! ! アヤしげな「神様」に願いを託し、叶えたり振り回されたりする人たちの、わちゃわちゃ神頼みエンターテインメント。

パーマネント神喜劇

パーマネント神喜劇

 

 

10「食でたどるニッポンの記憶」小泉 武夫 著(東京堂出版) 

終戦直後、野山を駆け回っていた小泉少年のお腹を満たした食べ物、懐かしいふるさとの味、そして戦後西洋化した日本の食卓まで。半世紀以上にわたるさまざまな食べ物との出会いを通して、日本の食文化の移り変わりをたどる。

食でたどるニッポンの記憶

食でたどるニッポンの記憶

 

 

 

*1:ライター。1985年生まれ。早稲田大学文学部卒。2010年よりサラリーマンを続ける傍ら、小さな本屋の魅力を伝える活動「BOOKSHOP LOVER」を始める。現在は独立。Webや雑誌などを中心に、本屋と本に関する活動を多岐にわたり行う

東芝 大裏面史

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東芝 大裏面史」FACTA編集部 編(文藝春秋

経済産業省原子力発電を輸出することによって国を繁栄させる「原発ルネッサンス」という政策を省是とした。東芝は、その大きな政策の流れの中、米国の原子力大手、ウェスチングハウス三菱重工業が提示した額を遙かに上回る54億ドルで買収する。しかし、3・11の福島原発事故で、東芝が作った3号機もメルトダウン。それを機に原発事業は先進国のみならず、新興国でも存亡の淵に立たされる。すでに死んでいるはずの東芝が、まだ生き長らえているのはなぜか?そこには、日本の核燃料サイクルを維持させるための経産省の深謀があった。東芝幹部が回し読みしていたという会員制情報誌による徹底調査!

東京電力が電気代として集めた金のうちいくらかの金は、関係が深い企業などに回って行きます。その金を使って東芝などの企業は高度経済成長の日本を支えてきました。仕組み全体が国策だったのです。しかし、その仕組みが崩れ、電気代の使い道についても厳しい目が注がれるようになった昨今。いわゆる「昭和好景気型」の経営が立ちゆかなくなるのは素人目にもわかります。

経済それも企業記事は一人で書けるものではなく、数多くの関係者に当たって話を聞き、裏を取ってまた話を聞くという根気が必要です。「FACTA」誌に掲載されてきた記事を再構成した企業の裏面史です。本書そのものは一次情報ではありませんが、一次情報に当たる際のガイドとして貴重な記録です。経済関係の放送局員が手に取られます。

パナソニック」「住銀」「ソニー」などの本を読むたびに、功なり名を遂げた経営トップが道化師のように見えてくるのには情けなさを感じます。

東芝 大裏面史 (文春e-book)

東芝 大裏面史 (文春e-book)

 

 

 

 

路地の子

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「路地の子」上原善広*1 著(新潮社) 

「金さえあれば差別なんてされへんのや! 」
大阪・更池に生まれ育ち、己の才覚だけを信じ、
食肉業で伸し上がった「父」の怒涛の人生。

昭和39年、大阪――「コッテ牛」と呼ばれた突破者、上原龍造は
「天職」に巡りあう。一匹狼ながら、部落解放同盟、右翼、共産党
ヤクザと相まみえる日々。同和利権を取り巻く時代の波に翻弄されつつ、逞しく路地を生き抜いた男の壮絶な半生を、息子である著者が描く異色のノンフィクション。

 今はあまり聞きませんが、かつては日本で一番取材しにくい世界がありました。この本のテーマとなった食肉業界は触れてはならない世界だったことを思い出しました。日米農産物交渉とりわけ牛肉自由化の取材をすすめるにあたり、情報を握るのは大手精肉業者です。しかし、その取材は難航します。利権の実態は差別という分厚いベールで覆われ、誰もその実態に迫れませんでした。他者への不寛容化が進む現代。触れてはならない世界は見えない姿で私たちのそばに佇んでいます。異なる視点から見た事実は様々な気づきを与えてくれます。

路地の子

路地の子

 

 

*1:大阪府出身のノンフィクション作家。被差別部落出身である事をカミングアウトし、部落問題を中心に文筆活動を行っている

ブラタモリ 京都・伊勢志摩

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ブラタモリ」7、8 NHKブラタモリ」制作班(KADOKAWA

収録される放送回

(7)
#36 京都・嵐山 ~嵐山はナゼ美しい!?~
#37 京都・伏見 ~伏見は“日本の首都”だった!?~
#39 志摩 ~志摩の宝は絶景が生んだ!?~
#40 伊勢神宮 ~人はなぜ伊勢を目指す?~
#41 お伊勢参り ~人はなぜ伊勢を目指す?~

(8)
#38 横浜 ~横浜の秘密は“ハマ”にあり!?~
#42 横須賀 ~なぜ横須賀は要港(ヨーコー)っスカ?~
#43 会津 ~会津人はアイデアマン!?~
#44 会津磐梯山 ~会津磐梯山は“宝の山”?~
#47 高尾山 ~高尾山はナンバーワンの山!?~ 

散歩本が書店のコーナーを形作るようになった背景に、テレビの子紀行番組があります。昔の紀行番組はテーマ性が高いものが主流でしたが、最近は視聴者が番組で取り上げた場所を訪ねることを想定して作られています。さらに、訪ねる場所も「名所旧跡」や「店舗」といった定番の観光案内では物足りず、「なぜ、今、ここで」といった素朴な疑問に答えるという、制作者側にとって事前取材が欠かせない”厚み”や”発見”のあるものに関心が集まっています。ちょっと深い旅をしたい人に読まれる本の最新刊が登場しました。 

ブラタモリ 7 京都(嵐山・伏見) 志摩 伊勢(伊勢神宮・お伊勢参り)

ブラタモリ 8 横浜 横須賀 会津 会津磐梯山 高尾山 

ブラタモリ 8 横浜 横須賀 会津 会津磐梯山 高尾山

ブラタモリ 8 横浜 横須賀 会津 会津磐梯山 高尾山