本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

女子高生アイドルと東大生

放送に関係がある本が出版されると、優先的に並べるのがこの書店の流儀です。「アイドルと東大生という思い切った組み合わせが気になる」といって、書店員は本の山を積み上げます。 より強度のある紙の橋を作れ。こんなお題に、モデルやアイドルの女子高生が…

週間ベスト10

政経ビジネス書部門のランキングです。 丸善丸の内本店調べ(5月12日~18日) // 1「一生モノの副業 この1冊でわかる大学講師のなり方」石川和男、千葉善春 著(左右社) 2「決定版 FinTech」加藤洋輝、桜井駿 著(東洋経済新報社) 3「FinTech入門」辻庸…

ブラジルの大地に生きる

見渡す限りの原生林を必死で開拓、コーヒー農園を築くも、大寒波で壊滅状態に…。想像を絶する苦労の中で写真を撮った日系人移民がいます。 1927 年にブラジルに農業移民として渡った大原治雄です。 広大な農地で農具を操る自分。花満開のコーヒーの木と娘。…

週間ベスト10

ビジネス書部門のランキングです。 オリコン調べ(5月16日~22日) // 5位に登場した本の中で、著者の田村氏は「リーダーはメンバーから信頼されないのが普通だ」と言います。リーダー自身が「理念」と「ビジョン」と「戦略」を部下に示し、本気でコミット…

国会内の特殊書店

限られた客層を相手にする書店は気になる存在です。噂には聞いていた国会の本屋が記事になっていました。 「やっぱり本は紙の本じゃなけりゃいけないね。読まなきゃ書けないし、書ける人は読んでいるんだ」という店主の言葉には説得力があります。 放送局員…

映像制作関係者がターゲット

映画やドキュメンタリー美術系といったアート系の本は、客層が限られているので、そうそう部数はでません。したがって、一般書店でこの手の本を扱うのは、固定客をがっちりつかんだ骨のある書店か、財力に余裕のある大手書店になってしまいがちです。 幸い、…

初夏のドラマ原作本(7月から)

7月から始まる第二クール。 新番組関連情報が届き始めています。4月からの番組はこちらをご覧ください。 tanazashi.hatenablog.com // 「ふれなばおちん」6月28日(火) 23:15~NHK BS 「水族館ガール」6月17日(金) 22:00~NHK総合 「朝が来る」6月4日(土) …

空前のネコ本ブーム・ふたたび

写真集の棚がいつのまにかネコ本に覆い尽くされています。 動物写真家の岩合光昭さんが、世界各地のネコたちを、ネコ目線で撮りまくったドキュメンタリー番組『岩合光昭の世界ネコ歩き』。がどうやらブームに火をつけたのではないでしょうか。書店の入り口に…

学術文庫フェアはじまる

講談社学術文庫フェアがはじまりました。学術文庫の中から100種類ばかりを並べるという企画です。昨年はじめて企画したところ好評だったため、柳の下を狙っています。 はりきって「売るぞ~」と臨んだ初日。ようやく届いた看板を見てすこしがっかり。ピカ…

空撮の指南書・仕事の流儀

今夜の「プロフェッショナル 仕事の流儀」で無人航空機「ドローン」のパイロットが登場します。その話を聞いた書店員は大急ぎでドローン関連の書籍の面陳をはじめました。 仕事にも遊びにも使える! DJIのドローンで今すぐいろんな物を空撮しよう!【電子書…

特集番組「人生のしまい方」

本屋ではアドラーブームが続いています(写真3位は「幸せになる勇気」)。 生き方を考える本は根強い人気です。 NHKスペシャル「人生のしまい方」は生き方を考える上で、多くの人たちの関心を集めた労作でした。 2016年6月18日(土) 0:10 ~ 6月18日(…

週間ベスト10

新書部門のランキングです。 丸善丸の内本店調べ(5月5日~11日) // 1「言ってはいけない 残酷すぎる真実」橘玲 著(新潮社) 2「世界経済大乱」滝田洋一*1 著(日本経済新聞出版社) 3「組織の掟」佐藤優 著(新潮社) 4「知らないと恥をかく世界の大…

週間ベスト10

新書部門のランキングです。 京都・アバンティブックセンター京都店調べ(5月9日~15日) 蓄積したランキング表を眺めると、京都の書店では岩波書店発行の新書がよく売れていることがわかります。書店側の力のいれ具合か、土地柄かはわかりませんがベスト1…

実証する視点

「知能をあげることが可能か」という議論は、科学読み物が好きな人にはワクワクする1冊でしたが、こちらはノーベル賞を受賞した科学者が、科学史に名前を残す先人の業績を冷静に見直した一冊。こき下ろしたといってもいいような本です。先輩の業績を酷評す…

歌丸の終点

人気番組「笑点」(日本テレビ系)から司会の桂歌丸さん(79)が勇退しました。 歌丸師匠といえば小圓遊。番組での罵倒合戦はお約束で、それを見るために笑点にチャンネルを回したことも多かった気もします。 司会の三波伸介や円楽や喜久蔵の軽妙なやりとり…

夏を涼しく 緑のカーテン

そろそろ梅雨の季節。そして梅雨が明けると本格的な暑さがやってきます。 夏の暑さを自然の力でしのぐのがグリーンカーテン。朝顔などのつるを伸ばす植物を建物の窓や壁、塀にネットやロープ、支柱で這わせ、日よけにするものです。しかし、いざグリーンカー…

脳力アップに効く方法とは?

街の書店では「一流の育て方」が売れています。 オトナになってからでは遅すぎる。教育はのびざかりの3歳までがタイミングという親の願いが背景にあるようです。研究者のあいだでは、知能という器の大きさは生まれつきのものであり、後から大きく伸ばすのは…

週間ベスト10

文庫部門のランキングです。 ヨコハマ・有隣堂伊勢佐木町本店調べ(5月1日~7日) // 1「夢幻花」東野圭吾 著(PHP研究所) 2「吉原詣で 鎌倉河岸捕物控(二十八の巻) 」佐伯泰英 著(角川春樹事務所) 3「64(ロクヨン)上」横山秀夫 著(文藝春秋) 4「…

(ニコニコ学会)運営のための教科書

チャーミングな装丁にひかれて「ニコニコ学会βのつくりかた」を手に入れてしまいました。 ニコニコ学会βを支えるテーマは「共通善」。「大きな一つの目的に向かって異質な才能が集結するところに意義がある」と著者は語ります。 異質な才能が集結し、あたら…

ニコニコ学会という楽しいアカデミズム

書籍との出会いがもとで、世の中の新しい動きを知るのは、書店をぶらつく魅力の一つです。壁のような書架に面陳されていたのが「ニコニコ学会βのつくりかた」です。 ニコニコ動画の投稿コンテンツではありません。 かわいいイラストが表紙を飾るこの本。よく…

不世出の国民的歌手の知られざる苦闘と栄光の生涯

「昭和の歌藝人 三波春夫 戦争・抑留・貧困・五輪・万博」三波美夕紀*1著(さくら舎) 音楽や芸能の才能があるなしに関わらず、若い放送局員は年に数回歌番組の手伝いにかり出されます。とはいっても出演者の送迎やフロアの手伝いといった雑用が中心です。公…

週間ベスト10

単行本フィクション部門のランキングです。 日販調べ(5月2日~8日) 10位に登場した「さんぽみち」。イラストの作者はTwitterフォロワー数51万人のイラストレーター深町なか氏です。 深町なか(@monqkq)さん | Twitter フリーランスで活躍するイラストレータ…

声優になりたい人は持つべき本

声優養成所に通っている人はほぼ全員持っていて、 これから声優になりたいという人には、たぶん必要になるものがあります。 ヒントは、高野麻里佳と高橋李依と長久友紀による日本の声優ユニットが教えてくれます。 // 「それが声優!」 〔歌:イヤホンズ(高野…

批判は正義の母である

書店員の表情が明るいときは「本が売れている」時か「骨のある本」を仕入れた時のどちらかです。店頭を見ると2冊の本が並んでいます。 「ゲンダイ・ニッポンの真相」斎藤貴男 著(同時代社) 「日刊ゲンダイ」好評連載コラム10年分。「権力欲、支配欲、力へ…

恐怖の裏側

制作系の放送局員のほとんどは「ドラマ制作志望である(らしい)」と聞いたことがあります。したがって映画監督に関する本はそこそこ売れます。観客目線というのではなく、「自分だったらどう作るか」という意識が若干あるので、あくまでも物作りの考え方や…

ペテロの葬列を並べてみた

文庫・新書部門の首位に立つのが「ペテロの葬列」宮部みゆき 著(文藝春秋)です。 「皆さん、お静かに。動かないでください」。拳銃を持った、丁寧な口調の老人が企てたバスジャック。乗客の一人に、杉村三郎がいた。呆気なく解決したと思われたその事件は…

雑草をノックアウト

春から初夏にかけて売れ行きを九に伸ばす本の代表格が園芸関連のテキストです。 人気の花卉類を取り上げると売り上げが伸びます。 売り上げ上位の代表格が「バラ」です。バラは手入れがほどほどに難しく、世話をかければかけただけ美しい花が咲くことからフ…

このままでは親子共倒れ アラハンどころではない老後の話

100歳になっても悠々とした人生が送れれば幸せです。ところが明るく輝く光のそばには、暗くて深い闇の存在があります。見えにくい闇の存在を照らしだすのも放送が担う使命の一つです。本屋の社会・福祉のコーナーも高齢化社会の今を反映してか、老後と貧…

アラハン本

アラハンの本が売れています。 アラハンとは「アラウンド・ハンドレッド」、100歳前後の高齢者のことをいいます。 放送局でも人生の達人の方々は貴重なスターといってもいいかもしれません。 インタビューだったり対談であったりと、功なり名を遂げた著名人…

週間ベスト10

フィクション部門のランキングです。 トーハン調べ(4月24日~30日) // 1「羊と鋼の森」宮下奈都 著(文藝春秋) 2「天才」石原慎太郎 著(幻冬舎) 3「君の膵臓をたべたい」住野よる 著(双葉社) 4「田中角栄 100の言葉 ~日本人に贈る人生と仕事の心…