本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

未来を占う本・・・らしい

量販書店では地味な扱いを受けている、見た目にもおとなしい本です。原書は「THE INEVITABLE」。避けられないというタイトルは、どこか不安をあおる響きが感じられます。邦題を見る限り読者層はインターネット方面の限られた人たちのようです。しかし、それ…

週間ベスト10

ビジネス部門のランキングです。 名古屋・三省堂書店名古屋髙島屋店調べ(8月14日~20日) 企業城下町ならではのベストセラーが並んでいます。 // 1「トヨタの失敗学 「ミス」を「成果」に変える仕事術」(株)OJTソリューションズ (KADOKAWA) 2「型やぶり…

週間ベスト10

文芸。小説部門のランキングです。 オリコン調べ(8月15日~21日) // 1「コンビニ人間」村田沙耶香 著(文藝春秋) 2「コーヒーが冷めないうちに」川口俊和 著(サンマーク出版) 3「海の見える理髪店」荻原浩 著(集英社) 4「陸王」池井戸潤 著(集…

読む力を考える・青山ブックセンター

怪しい空模様の中、表参道の青山ブックセンターに行ってきました。東京メトロ表参道駅から下車してもいいのですが、散歩がてら渋谷から246沿いを徒歩で20分程度歩くと、閉鎖された子どもの城が見えてきます。少し寂しい。その先の国連大学ビルの前庭では…

体力の極限を実感する本

今週登場したノンフィクションです。 // 「漂流」角幡唯介*1 著(新潮社) 奇跡の生還から8年。マグロ漁師を再び海に向かわせたものは何だったのか? 1994年冬、沖縄のマグロ漁師・本村実は、フィリピン人らと共に救命筏で37日間の漂流の後、「奇跡の生還」を…

崩壊した組織の狂気を味わう本

反響を呼んだ単行本が新書化されました。この夏放送局でよく読まれた本の一つです。 // 「戦場の軍法会議: 日本兵はなぜ処刑されたのか」北博昭、NHKスペシャル取材班 著(新潮社) 太平洋戦争中、敵前逃亡罪などを犯した兵士を裁くため設けられた「軍法会議…

高齢ペットと暮らす飼い主に寄り添う本

実用書の需要が少ない当店でも、ペットの看取りがテーマのこの2冊は発売と同時に強い関心を呼んでいます。(イヌは今月発売。ネコは昨年発売。イヌの出版にあわせて並べたところネコが売り切れてしまいました)長く連れ添った愛猫・愛犬は家族同様の存在で…

ゴジラ&怪獣映画をキホンから学ぶ本

映像制作関係者向けのコーナーに登場しました。 // 「モンスターメイカーズ 増補改訂新装版」STUDIO28 編(洋泉社) 1933年、世界を揺るがした怪獣特撮映画『キング・コング』。自分もコングのような怪獣映画を作ってみたい! そんな夢に人生を捧げた男たちが…

自分が自分であることはなにかを考えさせられる本

先週入荷したノンフィクションの新刊本です。 // 「キッド 僕と彼氏はいかにして赤ちゃんを授かったか」ダン・サヴェージ 著(みすず書房) 同性カップルが養子縁組によって子どもを迎えるまでの事の次第を等身大で綴った痛快ノンフィクション。 ダンとテリ…

辻村深月の新作登場

今日のニューフェイス // 「東京會舘とわたし」 辻村深月*1著(毎日新聞出版) 海外ヴァイオリニストのコンサート、灯火管制下の結婚式、未知のカクテルを編み出すバーテンダー…“會舘の人々”が織り成すドラマが、読者の心に灯をともす。大正十一年、丸の内に…

週間ベスト10

新書部門のランキングです。 大阪紀伊國屋書店梅田本店調べ(8月8日~14日) // 1「「働きがいあふれる」チームのつくり方」前川孝雄 著(ベストセラーズ) 2「鋼のメンタル」百田尚樹 著(新潮社) 3「キリンビール高知支店の奇跡 勝利の法則は現場で拾…

池上冬樹さんが薦める新刊

新しい本に出会うには、選者が薦める本を手に取るのが早道です。 // 池上冬樹さん*1です。 「暗殺者の反撃」(上・下) マーク・グリーニー著、伏見威蕃訳(早川書房) 「殺人出産」村田沙耶香 著(講談社) 「拝み屋怪談 禁忌を書く」郷内心瞳 著(筑摩書房…

週間ベスト10

総合部門のランキングです。 トーハン調べ(8月7日~13日) // 1「コンビニ人間」村田沙耶香 著(文藝春秋) 2「海の見える理髪店」荻原浩 著(集英社) 3「おしりたんてい ふめつの せっとうだん」トロル 著(ポプラ社) 4「かいけつゾロリのおいしい金…

伝説のドラマ脚本家の対談集です

本日の面陳はこの本。 // 「お茶をどうぞ: 対談 向田邦子と16人」向田邦子 著(河出書房新社) 1929年東京生まれ。放送作家としてラジオ・テレビで活躍。「だいこんの花」「寺内貫太郎一家」等。1980年に短篇小説「思い出トランプ」で直木賞受賞したが、81年…

リスクを食べる本

過剰に恐れてはいけないが、安心してはいけないことを気付かせてくれます。 // 「リスクを食べる: 食と科学の社会学」柄本三代子 著(青弓社) 「食べる」という日常生活を取り囲む社会的・経済的・政治的な背景を解きほぐし、不安とリスクコントロールを迫…

話題の新書、3著者が語る「いつのまにか、戦争」

70年たった今も世界から戦争の惨禍は消えません。正義のための戦争なんてものはありません。いったん戦争が起きてしまえば残虐なことも平気で行われ、それが正当化されてしまいます。戦争が何をもたらすのか想像することは、奇跡的に戦争という悲劇に巻き込…

夏枯れの出版界で新刊本を探してみる

夏期休業で版元の動きが鈍いこともあり、せっかくいただいた宣材を使って売り出したのがこの本。 「芸能人寛容論: テレビの中のわだかまり」武田砂鉄 著(青弓社) // 「cakes」の人気連載、芸能人批評「ワダアキ考」がついに書籍化。約50人を厳選し、増補。…

日常生活を冒険に変える本

荻窪の書店「title」さんが普段見慣れている日常を、すこし違う角度から見た本を薦めています。すこし違う角度が書店の個性をつくるのだろうと思います。 書店員に聞くと「かつてはどこの書店にも棚作りにこだわりを持つ店員が少なくとも数名はいたものの、…

週間ベスト10

新書部門のランキングです。 紀伊國屋書店全店調べ(8月3日~9日) // 1「キリンビール高知支店の奇跡 勝利の法則は現場で拾え! 」田村潤 著(講談社) 2「NARUTO ─ナルト─ 木ノ葉新伝 湯煙忍法帖」岸本斉史 著(集英社) 3「言ってはいけない 残酷すぎる…

SMAP解散と、本屋ができること

解散の報を受け、連休明けに問い合わせが殺到するはずです。関連本を調べてみました。在庫はあるかな? // 放送局員は、ゴシップや三面記事にはあまり興味を示しません。ウラ付けが不確かな情報や、広く知れ渡ってしまった話題は商品ではないと自覚している…

須賀敦子の手紙

夏、朝の木陰で開いてみたい本です。 // 「つるとはな」に連載され大きな話題となった、須賀敦子の未公開書簡を写真とともにまとめた一冊です。 印刷された活字だけでは表現できない著者の質感が肉筆の手紙から伝わってきます。こころを許すともだちの存在が…

週間ベスト10

ランキングです。 東京堂書店神田神保町店調べ(8月9日) // 1「コンビニ人間」村田沙耶香 著(文藝春秋) 2「旅の食卓」池内紀 著(亜紀書房) 3「唐牛伝 敗者の戦後漂流」佐野眞一 著(小学館) 4「編集 -悪い本ほどすぐできる 良い本ほどむずかしい」…

書を捨てて野山に遊ぶ日?

明日から集配が一斉に休みに入ることから、雑誌の発売日が繰り上がります。そのため、連休の谷間にあたる12日(金)は書店は店を開けます。お奨めは、冒険家をしのぶ本です。アウトドアに思いを寄せる日は、こんな評伝が似合いそうです。 // 「星野道夫 風の…

芥川・直木賞候補作品を丸ごと集めた棚作り

第55回芥川賞・直木賞の受賞作が、今月発売の「文藝春秋」9月号、「オール読み物」9月号にそれぞれ掲載される予定です。 まだ作品を読まれていない方は雑誌に目を通されるのも正しい選択かもしれません。 もともと二つの文学賞は、書籍の販売が鈍る2月と8…

週間ベスト10

文芸書部門のランキングです。 京都アバンティブックセンター京都店調べ(7月25日~31日) // 1「コンビニ人間」村田沙耶香 著(文藝春秋) 2「ABC! 曙第二中学校放送部」市川朔久子 著(講談社) 3「海の見える理髪店」荻原浩 著(集英社) 4「ブラタモ…

週間ベスト10

総合部門のランキングです。 日販調べ(7月25日~31日) // 1「コンビニ人間」村田沙耶香 著(文藝春秋) 2「撫物語」西尾維新 著(講談社) 3「海の見える理髪店」荻原浩 著(集英社) 4「どんなに体がかたい人でもベターッと開脚できるようになるすご…

パルコの書店、本日閉店

渋谷公園通りのパルコが今日で営業終了というので行ってきました。 // 炎天下の中、朦朧とした目に飛び込んできたのがパルコビルの異変。壁面にゴジラの首が飛び出しています。「シン・ゴジラ」の公開にあわせたウォールペインティングでしょうか。 近くに寄…

夏は読書で暑気払い

暑い暑いといってられません。暑いときは涼しい場所で読書が一番。図書館は学生で満員だからと二の足を踏むあなたにお奨めしたい穴場がここです。 // 東急東横線代官山で下車。話題を呼んだ「代官山蔦谷」をのぞきに行きました。 外気は熱帯ですが、ガラス張…

人が思いもしないことを思いつく人たち

エンタメ系の番組は放送作家の腕の見せ所です。放送作家はテレビづくりが最優先。しかも忙しいので本を出す人は思ったほど多くありません。 // 「ひねり出す力 “たぶん"役立つサラリーマンLIFE! 術」内村宏幸 著(集英社クリエイティブ) 「アイデアは、決し…

テレビ制作現場の法律相談

本日登場した本。番組制作者の必読書として長く売れそうな気がします。 // 「第2版 よくわかるテレビ番組制作の法律相談」梅田康宏*1、中川達也*2著(日本加除出版) 好評を博した旧版を、8年ぶりに大改訂! NHKと民放の弁護士がわかりやすく解説SNSに投稿さ…