本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

【ブックレビュー】週間ダイヤモンド2018年7月7日号

三省堂書店岐阜店店長が選んだ ビジネス書 週間ダイヤモンド2018年7月7日号 // 「経営者:日本経済生き残りをかけた闘い」 「人生を思い通りに操る 片づけの心理法則」 「世界一ラクなお金の増やし方 #インデックス投資はじめました」 「経営者:日本経済生き…

#小山奈々子、野口幸子「ジジの合鍵―雑貨屋ジジとアーティストの10年」

// 「ジジの合鍵―雑貨屋ジジとアーティストの10年」小山奈々子、野口幸子 著(kukui books) 奇妙な本です。 タイトルからうかがえるのは、女性二人による雑貨店経営の本のようです。 店を経営した10年と年月で括られているのは、過去形の物語なのでしょうか…

#サラ・ワイズ「塗りつぶされた町──ヴィクトリア期英国のスラムに生きる」

// 「塗りつぶされた町──ヴィクトリア期英国のスラムに生きる」サラ・ワイズ 著(紀伊國屋書店) 主義主張の争いを聞くと、なるほど筋は通っていると納得する反面、耳感じる違和感が残ります。 日々を坦々と生きる人たちの姿のほうが、多くのことを語ってく…

#山本寛「なぜ、御社は若手が辞めるのか」

// 「なぜ、御社は若手が辞めるのか」山本寛*1 著(日本経済新聞出版社) 就職氷河期を経験した人が聞いて仰天するのが、売り手市場の時代に就職活動をする若者たちの行動なのだそうです。「他にやりたいことがあるので・・・」「留学します」「家庭の事情で」…

#キズナアイ、届木ウカ、月ノ美兎、赤月ゆに、万楽えね、みゅみゅ、皇牙サキ、広田稔、じーえふ「ユリイカ 2018年7月号 特集=バーチャルYouTuber」

// 「ユリイカ 2018年7月号 特集=バーチャルYouTuber」キズナアイ、届木ウカ、月ノ美兎、赤月ゆに、万楽えね、みゅみゅ、皇牙サキ、広田稔、じーえふ 著(青土社) 子どものなりたい職業の一つに「ユーチューバー」という仕事があります。 自分で動画コンテ…

#前川喜平「面従腹背」

// 「面従腹背」前川喜平*1著(毎日新聞出版) 一般の人にとって、官僚の仕事。とりわけ国家の中枢で働く人の生の声に触れることは希です。 守秘義務という枷もさることながら、巨大で精密な仕組みをスムーズに回転させていくには個人の感情は不要だからです…

#貴志謙介「戦後ゼロ年 東京ブラックホール」

// 「定めた狙いに向かって、ひたすら深掘りする」。 広く浅くではなく、狭く深くが番組制作の決め手なのだそうです。 「関係者を丹念に当たっていくうちに、最初は点のように見えていた景色が、線になり、面のように見えてくる」と制作者はいいます。 戦後…

#Q.B.B. 、久住昌之「古本屋台」

// 「古本屋台」Q.B.B. 、久住昌之 著、久住卓也 イラスト(集英社) 「孤独のグルメ」の次に原作者の関心が向かった先は古本屋でした。 ただ、古本屋はものが動かないし、人と人の会話が成立しにくいので映像化がしにくい。 ならばと考えたのでしょう「屋台…

#NHKスペシャル取材班「未解決事件 グリコ・森永事件 捜査員300人の証言」

// 「未解決事件 グリコ・森永事件 捜査員300人の証言」NHKスペシャル取材班 著(新潮社) マスコミは捜査機関ではありません。 証拠を集め、その結果をもとに事件を立証することはできません。捜査する権限も予算もありませんから、事件が起きると「捜査機…

#齋藤利勝「あなたのキャリアをお金に変える! 「顧問」という新しい働き方」

// 「あなたのキャリアをお金に変える! 「顧問」という新しい働き方」齋藤利勝 著(集英社) 60歳で定年を迎えても、年金が振り込まれる65歳までは5年というブランクがあります。また、65歳で再雇用先を退職した後もそろそろ体がヤバイかなという年齢までか…

#マヤ・ルンデ「蜜蜂」

// 「蜜蜂」マヤ・ルンデ 著(NHK出版) アニメーションやファンタジーの楽しみの一つに世界観があります。 世界観とは世界を全体として意味づける見方・考え方のことです。 人生観より広い範囲を包含する。 単なる知的な理解にとどまらず、より情意的な…

#大野正人「失敗図鑑 すごい人ほどダメだった!」

// 「失敗図鑑 すごい人ほどダメだった!」大野正人 著(文響社) 子どもの頃いつのまにか読んでいた「偉人伝」。子どもの頃は素直に信じた人物も、今振り返ると、この人ってそんなに偉人だったのか?と疑問符をつけるクセがついてしまいました。どんなに優秀…

#細田守「未来のミライ」

// 「未来のミライ」細田守 著(KADOKAWA) 7月20日に公開予定の細田守監督の最新作「未来のミライ」。 とある都会の片隅の、小さな庭に小さな木の生えた小さな家。ある日、甘えん坊のくんちゃんに、生まれたばかりの妹がやってきます。両親の愛情を奪われ、…

#清水浩史「深夜航路」

// 「深夜航路」清水浩史 著(草思社) 旅の魅力は想定外の事実との出会いです。 ガイドブックにあるような観光地巡りにも発見はあります。 しかし、本当の発見は自分だけの体験であり、驚きにまさるものはありません。 「陸でなく、海。それも夜という切り…

#田中優介「スキャンダル除染請負人」

// 「スキャンダル除染請負人」田中優介 著、田中辰己 監修(プレジデント社) スキャンダル除染請負人 企業の危機管理コンサルティングで有名なリスク・ヘッジ社長が初めてのビジネス小説を書いた。 すべて実際に使われている手法や実存したリアクションが…

#ヨシダナギ「HEROES ヨシダナギBEST作品集」

// 「HEROES ヨシダナギBEST作品集」ヨシダナギ 著(ライツ社) 珍獣ハンターイモトなど、女性冒険家の活躍がお茶の間の話題を独占するこの時代。 世界中のヒーロー(少数民族)を撮影し続けるフォトグラファー「ヨシダナギ」の集大成となる一冊! がついに登場…

#宮野真守「クイック・ジャパン138」

// 「クイック・ジャパン138」宮野真守特集 (太田出版) 太田出版の出版物は取り上げる企画の鮮度が高い上に、深掘りされていることから放送関係者のネタ元として重宝されています。中でも人物特集の掘り下げ方は半端ではありません。 「出演交渉だけでなく…

「北欧に学ぶ小さなフェミニストの本」

// 「北欧に学ぶ小さなフェミニストの本」Sassa Buregren 、サッサ ブーレグレーン 著、枇谷 玲子 訳(岩崎書店) 現実を見つめ、問題点をどう克服するか。価値観を押し付けず多様な価値観の中で、どのように社会性を養い、自分の意見を主張しながらも相手の…

#加藤哲郎「731部隊と戦後日本――隠蔽と覚醒の情報戦」

// 「731部隊と戦後日本――隠蔽と覚醒の情報戦」加藤哲郎 著(花伝社) テレビでよく見るタレントの名前や、昨日食べたご飯のことも、人間は年を取ると記憶がかなり曖昧になります。しかし、若い頃の思い出でも、写真や記録が残っていれば、その時起きたこと…

#永井浩「「ポスト真実」と対テロ戦争報道――メディアの日米同盟を検証する」

// 「「ポスト真実」と対テロ戦争報道――メディアの日米同盟を検証する」永井浩 著(明石書店) 可能な限り事実を伝えることが放送局で働く者の義務であり、使命であることはいうまでもありません。しかし、油断をすると後ろから刺されるようなこともあります…

#Hana「全身ユニクロ! 朝、マネするだけ」

// 「全身ユニクロ! 朝、マネするだけ」Hana 著(ダイヤモンド社) Ameba blog of the year受賞した著者は、総フォロワー数26万人 の人気インフルエンサーです。 着回しに悩む若い女性向けに絞り込んだコーディネートブログは一見の価値あり。 かつて誰もが…

#宇田智子「市場のことば、本の声」

// 「市場のことば、本の声」宇田智子*1著(晶文社) お目当ての本を買いに行って、その本が見つからず、その代わりに傲然別のものを発見することがあります。セレンディピティというのだそうですが、古本屋には、偶然の出会いが満ちあふれています。 価値あ…

#大久保直和「テレ東のつくり方」

// 「テレ東のつくり方」大久保直和*1 著(日本経済新聞出版社) テレビ東京の強いところは『ガイアの夜明け』『カンブリア宮殿』『未来世紀ジパング』ではなく、「池干し特番」であり「もやサマ」であり「充電バイク旅」であるように思います。人が気がつか…

#古賀純一郎「アイダ・ターベル ロックフェラー帝国を倒した女性ジャーナリスト」

// 「アイダ・ターベル ロックフェラー帝国を倒した女性ジャーナリスト」古賀純一郎*1 著(旬報社) 「神から金儲けの能力を与えられたのだから、できるだけもうけ、仲間達のために使う、これが私の義務だ」と言って、手段を選ばぬ金儲け主義に走った20世…

#スズキ ナオ、パリッコ 「酒の穴―酒をみつめる対話集」

// 「酒の穴―酒をみつめる対話集」スズキナオ *1、パリッコ*2著(シカク出版) BSで放送中の「酒場放浪記」。これが番組ディレクターの間でよく話題になります。 というのも、出演者を一人確保し、店の了解をとってしまえばとりあえず番組ができるという超…

#渡辺有子「料理と私」

// 「料理と私」渡辺有子*1* 放送局の料理番組を陰で支えるのは料理助手というエキスパートのみなさんです。 ほとんどが女性で、管理栄養士の資格を持つ料理のプロです。 番組の講師をつとめるのは、料理人やシェフ、料理研究家のみなさんです。 それぞれが…

#はらだ有彩「日本のヤバい女の子」

// 「日本のヤバい女の子」はらだ有彩 著(柏書房) 「ヤバい」という言葉は最近様々な意味で使われていて、本来使われていた意味がなんだったのか思い出せないほどです。 安易に使い続けると語彙力がやせ細るのではないかと人ごとながらちょっと心配になり…

#ドナルド R キルシュ「新薬の狩人たち――成功率0.1%の探求」

// 「新薬の狩人たち――成功率0.1%の探求」ドナルド R キルシュ 著(早川書房) 「勝負を有利に運べる知識や技術を備えているが運に翻弄される」著者は創薬の研究をギャンブル中のギャンブル・ポーカー・プレイヤーに例えます。 テレビや新聞などで大きく報道…

#片田珠美「被害者のふりをせずにはいられない人」

// 「被害者のふりをせずにはいられない人」片田珠美 著(青春出版社) コミュニケーション障害には二通りあるといいます。一つは人付き合いが苦手で、必要以上に空気を読んで行動するタイプ。 もう一つはその逆で人の話を聞き入れず他人に対して攻撃的な態…

#影山裕樹「あたらしい「路上」のつくり方 実践者に聞く屋外公共空間の活用ノウハウ」

// 「あたらしい「路上」のつくり方 実践者に聞く屋外公共空間の活用ノウハウ」影山裕樹ほか 著(DU BOOKS) 国土交通省が地域行政担当向けに「都市空間における公共空間の利活用に関するアンケート」を行なうなど、近年流行の屋外公共空間でのイベントづく…