本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

進化するAIがもたらすアカルイミライ

今日、正面のボード上に掲載されたのはこの本。 「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの」松尾豊 著(KADOKAWA/中経出版) 人類の希望か、あるいは大いなる危機なのか?「人間のように考えるコンピュータ」の実現へ、いま、劇的な進展…

スタジオが主役の本

世界一の録音スタジオといえば、このスタジオでしょう。 「アビイ・ロード・スタジオ ---世界一のスタジオ、音楽革命の聖地」アリステア・ローレンス 著(河出書房新社) 1931年のサー・エドワード・エルガーによるこけら落としのパフォーマンスから始まった…

月額課金で本が読み放題とは

朝日新聞によれば、アマゾンジャパンが、電子書籍を定額で読み放題とするサービスを日本でも始めることがわかったそうです。ブログに書くくらいですからバリューとしてはちょっと高いニュースです。 // 取材に対してアマゾンジャパンは「コメントできない」…

脚本家のエッセイ

文庫本のベスト3に躍り出たのがこの本。 「月日の残像」山田太一 著(新潮社) 記憶の片隅から、忘れえぬ情景や深い感情がよみがえる―浅草での幼い日々、父母や早世した四人の兄、大学時代に出会った寺山修司、木下恵介の助監督を務めた松竹大船撮影所の思…

週間ベスト10

政経ビジネス書部門のランキングです。 東京・丸善丸の内本店調べ(6月9日~15日) // 1「知っている人だけが儲かる コインランドリー投資のすすめ」三原淳 著(幻冬舎) 2「日本の革新者たち-100人の未来創造と地方創生への挑戦」齊藤義明 著(ビー・エヌ…

週間ベスト10

フイクション部門のランキングです。 丸善丸の内本店調べ(6月9日~15日) // 1「ポーラースター ゲバラ覚醒」海堂尊 著(文藝春秋) 2「羊と鋼の森」宮下奈都 著(文藝春秋) 3「家康、江戸を建てる」門井慶喜 著(祥伝社) 4「カエルの楽園」百田尚樹 …

進化の謎を一挙に埋めようとする野心的な試み

// 「人類進化の謎を解き明かす」ロビン・ダンバー*1 著(インターシフト) ヒトの心や社会ネットワークはいかに進化したか?私たちはいかにして「人間」になったのか、心や社会ネットワークはどのように進化したのか―謎を解く鍵は、「社会脳」と「時間収支(1…

戦場取材の魔力

最前線を取材するカメラマンの世界を伝えるのがこの一冊。 「戦場中毒 撮りに行かずにいられない」横田徹*1 著(文藝春秋) とにかく行きたい!勇んで飛び込んだ初めての戦場で見たのは、バラバラになった兵士の死体だった―アフガンではロケット弾で負傷し、…

建築とデザインをつなぐ本

リクシル出版のフェアが始まりました。数も少なく、本自体も比較的コンパクトなブックレットなので入り口脇に机を置いて展示します。 // 「ブルーノ・タウトの工芸 -ニッポンに遺したデザイン-」 ドイツ表現主義の建築家として知られるブルーノ・タウト。建…

週間ベスト10

新書部門のランキングです。 大阪・紀伊國屋書店梅田本店調べ(6月6日~12日) // 1「夜を乗り越える」又吉直樹 著(小学館) 2「壊れた地球儀の直し方」青山繁晴*1 著(扶桑社) 3「日本会議の研究」菅野完*2 (扶桑社) 4「捨てられる銀行」橋本卓典*3…

北欧雑貨の旅

アート・デザインのコーナーに飾られたのが北欧雑貨の本。「アートにしてはちょっと軽いが」と手に取ってみると、北欧雑貨を買いに行きましたという内容です。書店員に聞くと、北欧雑貨は数年前からブームで、最近ではわざわざ商品を買い付けに行くバイヤー…

今週の本

本日お目見えした本。 今週登場した三冊は後半でご案内します。 神田神保町の東京堂まで『HAB』を買いに行きました。ネットでも買えますがリアル書店までアツを運んで手に入れてこそ価値のある本もあります。 出荷前の拠点である日販物流センターのルポから…

週間ベスト10

文庫部門のランキングです。 紀伊國屋書店全店調べ(6月9日~15日) // 1「夢幻花」東野圭吾 著(PHP研究所) 2「植物図鑑」有川浩 著(幻冬舎) 3「アクセル・ワールド (20) ―白と黒の相剋―」川原礫(KADOKAWA/アスキー・メディアワークス) 4「黄金の…

安く売れる本

数日限定の廉売フェアを始めます。売り場はロビーです。というので行ってみると「バーゲンブック」という広告が目に入ります。本のバーゲンセールです。 雑誌や書籍は定価販売が守られています。「再販売価格維持制度」という決まりがあるからです。だから私…

柳のドジョウに笑う又吉

書店員が密かに期待しているのがこの本。芥川賞フィーバーがようやく落ち着いた又吉直樹氏の新書です。 「よしもと新書」は、小学館とよしもとクリエィティブ・エージェンシーが共同で立ち上げた新書レーベルです。6月10日に開かれた新書創刊記念会見には1…

早く売る本と、長く売る本

今日の平台は。2冊の新刊がお目見えです。 「硝子の太陽R-ルージュ」誉田哲也 著(光文社) 祖師谷で起きた一家惨殺事件。深い闇の中に、血の色の悪意が仄見えた。捜査一課殺人班十一係姫川班。警部補に昇任した菊田が同じ班に入り、姫川を高く評価する林が…

週間ベスト10

ランキングです。 東京堂書店神田神保町店調べ(6月14日) 120年前に建てられたビルを改装して営業中の東京堂書店。神保町にあるこの書店に行ってきたことを書店員に話したところ、書店関係者にとっては別格扱いの店のようです。 「かなり昔、大手書店の営業…

【脱線】精米改良剤をググってみました

精米改良剤入りご飯は「洗剤を食べているようなもの」!?とは驚きです。いったい「精米改良剤」は何なのかしらべてみました。 検索上位に厚労省の記事があります。ソースとしてはいちばん信頼性がある資料です。タイトルは 「精米改良剤」と称した食品添加物…

週間ベスト10

文庫部門のランキングです。 京都アバンティブックセンター京都店調べ(5月30日~6月5日) 食品の安全は古くて新しい問題です。食を提供する側はどうしても採算に縛られます。合法でさえあれば怪しげなものに手を伸ばす業者はあとをたちません。私も当時ハマ…

週間ベスト10

フィクション部門のランキングです。 八重洲ブックセンター本店調べ(5月29日~6月4日) // 1「羊と鋼の森」宮下奈都 著(文藝春秋) 2「終わった人」内館牧子 著(講談社) 3「岳飛伝 十七 星斗の章」北方謙三 著(集英社) 4「星はらはらと 二葉亭四迷…

小さな本の旅

天気も良かったので、聖地・神田神保町まで行ってきました。 東京メトロA7出口から外に出ると古書店が建ち並ぶ通りがすぐそこです。 御茶ノ水方向に歩くと東京堂書店が見えてきました。 本ブログの週間ベスト10でお世話になっている書店です。 // 本の街神…

年配読者のアイドル作家

本日の新刊本2冊 「老いも病も受け入れよう」瀬戸内寂聴 著(新潮社) 死の淵から生還した94歳。はじめての闘病記。病になってわかった元気と長寿の秘訣とは? 「男の詫び状」野坂昭如 著(文藝春秋) ぼくの言葉を誰かが覚えているかぎりぼくは死なない。阿…

シンプルな絵が想像力をかき立てる「映画愛」の本

印象的な名セリフに感動するのも映画を見る楽しみです。 しかし、なかなかそのシーンが思い出せないこともあります。ちょっとしたきっかけがスクリーンの記憶を呼び覚ますことがあります。あのシーンやセリフをしゃれたイラストと短いコメントで紹介したのが…

週間ベスト10

ランキングです。 東京堂書店神田神保町店調べ(6月7日) このところ東京堂書店のランキングに注目しています。データの動きを見ると書店により読まれている本の違いがわかります。街場の書店からみたら、写真集が首位をとること自体が驚きです。当店でもマ…

原爆とダンジョン

きょうの書店のランキング。ここのところ注目を集めているのが「原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年」堀川惠子*1 著(文藝春秋)です。ノンフィクションの大賞である第47回大宅賞を受賞しました。 広島の平和記念公園の片隅に、小山のような塚がある。「原爆供…

京都を応援するコミックがアツい

コミック関連棚の領域が拡大しています。表紙を外に向けて飾る面陳でアピール中のタイトルに、なにが"ついに”なのかわかりませんが、コミック化しちゃったことが書いてあります。「珈琲店タレーランの事件簿」の発行部数は160万部とすごいことになってい…

ジェットコースター人生と監獄小説

人生が小説以上に劇的な人物はそうたくさんいませんが、この人は別格といえるのが、英国の小説家、ジェフリー・アーチャー(Jeffrey Archer)*1です。ホリエモンが推薦文を寄せているのが悪い冗談ともとれる二冊がそれ。「地獄編」「煉獄編」というタイトル…

異世界ものの変化球

出版メディアの中で今、いちばん元気があるのは電子メディアでまちがいはないでしょう。飯田一史氏の「ウェブ小説の衝撃」によると、「小説家になろう」や「E★エブリスタ」などの投稿サイトが急成長しています。 小説投稿サイト「小説家になろう」最大のライ…

週間ベスト10

ベストセラーのランキングです。 東京堂神田神保町店調べ(5月31日調べ) 東京堂書店が毎週発表しているランキングは思いっきりクセがあって面白いので、サイトを見てみるとやはりクセがありました。サイト自体も様々な企画が用意されているので、既存のラン…

週間ベスト10

文芸書部門のランキングです。 東京堂神田神保町店調べ(5月25日~6月1日) 福岡慎一の本棚で紹介されていた須賀敦子氏の著作が気になって本棚を見ると「ミラノ霧の風景」を発見しました。オビを見ると「死んでしまったものの、失われた痛みの、ひそやかなふ…