本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

緊急入荷の本

注文していた本が届いたので早速店頭に。 「障害者殺しの思想」横田弘*1 著(現代書館) 青い芝の会の「行動綱領」を起草し、健全者社会に対する鮮烈な批判を展開した横田弘の70年代の思索。 たいへん痛ましい事件が起こりました。私も福祉番組の制作に携わ…

ザ・プレミアム 「寅さん、何考えていたの? ~渥美清・心の旅路~」

男はつらいよの主人公・車寅次郎を演じた渥美清さんは、私生活では賭け事や酒などには手をつけないマジメ人間でした。素顔をほとんど公にしなかった渥美さんの心境をさぐる手がかりが、趣味としてたしなんでいた俳句でした。しかし、その俳句は思いも寄らな…

初めて書籍化されたブラタモリ

期待の大型新人です。 // 「ブラタモリ (1) 長崎 金沢 鎌倉」NHK「ブラタモリ」制作班(KADOKAWA/角川書店) 第1巻では2015年度放送の第1回から第6回の長崎、金沢、鎌倉での内容を収録。街の成り立ちを、土地や建物に残された痕跡から、歴史・文化・地質学な…

放送の仕事を振り返る本

本日の最前線です。 // 放送局の書店では、番組に関係する本も揃えますが、それ以上に品揃えに気を遣うのがつくる側から見た番組や放送の本です。 放送局員にとってはおまんまのタネにあたるので、よその書店に置いてあるけど放送局の書店にないなんて洒落に…

「海賊王」と呼ばれた村上武吉、娘の景(きょう)に注目

今週のナンバーワンです。 // 「村上海賊の娘」和田竜 著(新潮社) 時は戦国。乱世にその名を轟かせた海賊衆がいた。村上海賊―。瀬戸内海の島々に根を張り、強勢を誇る当主の村上武吉。彼の剛勇と荒々しさを引き継いだのは、娘の景だった。海賊働きに明け暮…

週間ベスト10

人文部門のランキングです。 東京・あゆみBOOKS早稲田店調べ(7月10日~16日) 読書情報サイトは山のように出版される新刊本の中から話題の本にたどり着く一つの手段です。サイトに紹介されたことをきっかけに売り上げが伸びたのが7位に入った「「こつ…

柳の下のクラシック

東京近郊の名曲喫茶を集めたガイド本が出ました。 // 「東京クラシック地図」都恋堂 著(交通新聞社) たとえば名曲喫茶。それはひとつの文化。「いい音」とマスターこだわりの珈琲を…。今、静かに、そして熱い東京クラシックの場50軒。老舗から、新スポット…

週間ベスト10

総合部門のランキングです。 トーハン調べ(7月10日~16日) ランキングも集計先により個性が出ます。トーハン調べのデータは万人向けといったところでしょうか。子どもの本から大人の本、健康の本までベタに混ざっています。放送局の本屋に置いてある本は半…

講談社の3賞

7月20日に発表された講談社の3賞が発表されました。 第38回講談社ノンフィクション賞は // 「つかこうへい正伝 1968-1982」長谷川康夫 著(講談社) 時代を変えた天才演出家、つかこうへい。しかし、その真の姿が伝えられてきたことは、かつてなかった―。70…

ネットで予約。本屋で受け取る。

ツイッターが届いたので見ると「店頭にない本を本屋さんで手に入れるには”Honya http://Club.com ” がおすすめです!ネットで本を注文⇒本屋さんで受け取れちゃう!」とあります。ポイントも貯まるとあります。 twitter.com 希少本を検索すると「出版社よりお…

週間ベスト10

ランキングです。 東京堂書店神田神保町店調べ(7月26日) 話題の女性写真家ヨシダナギ氏の著作が2冊ランクイン。 東京堂書店で7月に開かれたトークイベントは満員御礼で見に行けませんでした。 // 1「ランチパスポート神保町・御茶ノ水・水道橋・ 飯田橋VO…

映画をディープに愉しむ本

本日お目見えした本がこちら // 「悲運の映画人列伝 ~あの映画人は今 (映画秘宝COLLECTION)」映画秘宝編集部(洋泉社) 栄光、悲劇、復活! 青春スターに筋肉野郎、爆裂監督と豪快プロデューサー! 80年代を中心に、映画界で光り輝いた人々光と影をつづる、衝…

女三人よればの新刊本

店頭に並んだ新刊本4冊。大阪の街を歩いてると商売上手なオカンに「立ち読みしてないで買いなさい」と呼び止められる・・・そんな共通項を感じるのが左の三冊です。津村氏は大阪市出身ですから本の内容も明るく楽しいに違いありません。道理で道尾さんの山が…

ドラマ「百合子さんの絵本~陸軍武官・小野寺夫婦の諜報戦争~」

終戦特番の季節になると旧刊本の注文が増え始めています。今年の番組の中でも筆頭といえるのがこの本。 // 「消えたヤルタ密約緊急電―情報士官・小野寺信の孤独な戦い」岡部伸*1 著(新潮社) 日本を滅亡から救え――欧米を手玉に取った男の崖っぷち情報戦。ス…

週間ベスト10

フィクション部門のランキングです。 八重洲ブックセンター本店調べ(7月3日~9日) // 1「陸王」池井戸潤 著(集英社) 2「蠕動で渉れ、汚泥の川を」西村賢太 著(集英社) 3「希望荘」宮部みゆき 著(小学館) 4「ジニのパズル」崔実 著(講談社) 5…

人工知能が開く未来

ソフトバンク関係者から21日(水)22日(木)の二日間開催される「ソフトバンクワールド」へのお招きをいただきました。 21日の孫正義グループ社長の基調講演は早々と満員になってしまったので、翌日の宮内 謙社長と日本マイクロソフト樋口泰行会長らによる…

週間ベスト10

ランキングです。 東京堂神田神保町店調べ(7月12日) // 1「純喫茶、あの味」難波里奈*1 著(イースト・プレス) 2「松尾芭蕉 おくのほそ道/与謝蕪村/小林一茶/とくとく歌仙 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集 12)」松浦寿輝、辻原登、長谷川櫂 著(河出書…

とと姉ちゃんの本 続々

「戦争をたたえるような雑誌を作ることは、わたしにはどうしても苦しくて・・・。いろいろなものを奪っていく戦争をたたえ、国民を煽るような雑誌を作りたいという気持ちには、どうしてもなれないんです」 西田征史氏の脚本が冴え渡る朝の連続テレビ小説「と…

つるとはなの話

人生の下り坂が見えてきたら、この雑誌の味わいがわかるはず。と書店員が話していたのが雑誌「つるとはな」です。現在3号まで発刊されています。 この本を知ったきっかけは「須賀敦子からの手紙」という本をめぐって書店員との雑談からでした。「手紙の写真…

立体複製画の内覧会に行ってきました。

猛暑の中、有楽町で開催中のリコー内覧会に行ってきました。会場の東京フォーラムは開放的な空間が特徴的なイベント会場として知られています。朝早くからビジネスマンが集まっています。 // この催しは取引先の企業に同社の最新サービスを提供するもので、…

ゴダール映画を裏側から見る

新しく登場したのがこの本。 // 「彼女のひたむきな12カ月」アンヌ・ヴィアゼムスキー 著(DU BOOKS) ゴダールに恋した青春の日々。映画監督ジャン=リュック・ゴダールと結婚した女優(のちに離婚)による自伝的小説です。 ゴダール自身や祖父モーリヤック…

「ひとり暮らしの小学生 江の島の夏」が登場

最近寄せられるご要望の中で目立つのがコミック関連の問い合わせです。原作がコミックというドラマや映画が増えているからなのでしょう。書店側でも情報に耳をそばだてなくてはなりません。一般書店ではコーナーや担当書店員を別にして応対しているようです…

週間ベスト10

新書部門のランキングです。 福岡・丸善博多店調べ(6月26日~7月2日) 「ヤンキー化する日本」齋藤環 著(KADOKAWA/角川書店)は視点が面白い日本人論でした。反知性ではないけど、地頭のいいヤンキーは実学をめざすという見立てには共感できます。これま…

新潮文庫 夏の100冊

今週の目玉商品は、文庫のフェアです。特設コーナーが丸ごと「新潮文庫」にジャックされてしまいました。 // 「新潮文庫の100冊」は新潮社が1976年から続けている夏の文庫フェアです。新潮文庫の中から100冊を選び出したもので、当初は女優さんなどがイメー…

改選まで使える本

選挙が終わると回収されてしまうのがこの本 // 「国会要覧 第56版」国政情報センター; 第五十六版 平成28年2月最新版! 国会議員の血液型から九星、趣味、政党遍歴、得意政策分野、親族一覧など国会議員情報に特化した編集。別冊2冊やスマホ用無料アプリなど…

考えることを止めてはいけない

本日平台に並んだこの一冊 // 「永遠の不服従のために」辺見庸 著(鉄筆) それは、とうに予感されていた。そして、それはついにやってきた――「抵抗三部作」(『永遠の不服従のために』『いま、抗暴のときに』『抵抗論』)のアンソロジーに加えて、書き下ろし…

「女ひとり 70歳の茶事行脚」 出張料理人の本

依頼があれば、依頼者の自宅などに出張して料理の腕を振るう「出張料理人」という職業があります。料理番組の制作者から資料になるような本はないのか紹介を受けたので探してみると数えるほどしか出版物が見当たりません。 「世界出張料理人」狐野 扶実子 著…

NHKスペシャル「私は家族を殺した~“介護殺人”当事者たちの告白」

最近放送局員から書籍の問い合わせが増えているジャンルに「介護」、とりわけ「介護殺人」というキーワードがあります。老親をかかえた我が身としても他人事ではありません。介護殺人とは、介護を担っている家族~配偶者や息子や娘~が、要介護者を殺害して…

週間ベスト10

総合部門ランキングです。 東京堂書店神田神保町店調べ(7月5日) 広告はプロパガンダです。役に立つ商品を広く伝える分には害も少ないのですが、過ぎたるは及ばざるがごとしです。20世紀の各種プロパガンダ資料を蒐集する編集者・早川タダノリ氏*1の著書「…

テレビマンのホンネが聞こえる本

視聴率調査で知られるのがビデオリサーチ。その会社が「放送」をテーマに出版物をつくった季刊の刊行物です。 // 「synapse」(ビデオリサーチ) 街場の書店ではあまり見かけない本だと思います。というのも中味はほとんど放送を中心としたメディアで働く人…