本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

エンターティンメントな出会いの書店

コーヒーの香りが漂う書店は、さながら癒やしの空間。ただし、人もジャンジャンあふれ出ています。

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 東急田園都市線二子玉川から、楽天本社があるクリムゾンハウスい向かう途中にTSUTAYAの新ブランド蔦屋家電があります。買い物ついでに立ち寄りました。店がオープンしたのは今年5月。家電と雑誌・書籍、サービスが融合した7160㎡(約2165坪)生活提案型の家電店です。

 

 

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 店の前の広場にはいつの間にできたのでしょう?スケートリンクがオープンしていました。大勢の親子連れでテーマパーク状態です。

蔦谷家電は書店とスタバカフェ、CDショップ、家電販売フロアや自転車転などがワンフロアの中に展開されているユニークな店です。回遊型になったフロアは二階に分かれ、テーブルやソファーもあります。ここでは棚の本を取り出してコーヒーを飲みながらゆっくり「立ち読み」することもできます。

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 興味を持ったのはこの店ならでは展示方法です。たとえばこの棚にはロボット関連の本が並んでいます。普通の店と違うのは、よく見ると隣に大友克洋のコミックス「AKIRA」や地図や文化論などが並んでいます。この店では、テーマからから連想されるイメージを優先して数珠つながりに本を並べているのです。

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 平台には、カバーに包まれた閲覧用の本が置かれています。表紙にはワープロで綴られた内容説明の案内が見えます。本を手に持って表紙を眺めただけでつい隣の本にも手を伸ばしたくなります。 

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 テレビの世界では、チャンネルを頻繁に変えて番組を見ることを「ザッピング」といいます。この店では読み手の都合を妨げずに、様々な本との出会いを取り持ちたいというザッピングにも似たねらいが込められているようにも見えます。読者層を増やしてゆくためには一つの工夫といえるかもしれません。

ただし物足りなかったのは品揃えです。学参書やコミックスは見当たりませんでしたし、ノンフィクション系も弱いようです。総じて「おしゃれな生活」を支援する書店といった感じです。書評などを見て読みたい本を買いに行く店としてではなく「見知らぬ本との出会いを楽しむ書店」「本も読めるカフェ空間」などと割り切って使い分けるべきなのかもしれません。

 *新年は1月2日(土)の9時からの開店です。2~3日には、福を呼ぶ蔦屋のおしるこも用意されているらしいです

*世田谷区玉川1丁目 二子玉ライズ S.C テラスマーケット 1階&2階

03-5491-8550