本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

ものを言う本です

新しい本が登場しました。

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平台の下手(向かって左の方)は放送に関係した書籍の定位置です。売れ行きが止まった共同通信社の「ニュース予定」に代わって、ニュースキャスターのエッセイが登場しました。

 改変期を前にして、番組の顔に当たるキャスター・アナウンサーの異動もそろそろ噂に登り始める頃です。書店としても新刊情報から目が離せなくなります。

NHKニュースウオッチ9』キャスターとして、報道人として、ひとりの常識人として。ニュースの現場、自分自身と向き合いながら4年余にわたって紡ぎ続けた言葉たち―。池上彰さんとのスペシャル対談収録!!

 

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もう一冊は

 

カート・ヴォネガット」(Kurt Vonnegut,1922-2007) は、ユーモアと皮肉に満ちた作風から「心優しきニヒリスト」とも呼ばれる現代アメリカ文学を代表する作家です。*1

卒業講演というサブタイトルはこの時期にあわせたものなのでしょうが、内容はギャグに満ちあふれ深い内容です。

アメリカ経済には奇妙なことがたくさんありますが、これもそのひとつ。アメリカの作家にとって、短編小説の傑作をひとつ書き上げるよりも、つぶれかかった大学でつまらない講演を一回やったほうがよほど金になるのです。そのうえ、同じネタを何度も使って稼ぐことができる。だれも文句を言いません。

国際経験豊かな読者も多い職場です。選書の範囲も洋書(の知識に)までアンテナを広げる必要に迫られます。「視野が広がります」と書店員は言います。

 

カート・ヴォネガットの本

「母なる夜」ドイツで劇作家として活動していたハワードの身に振りかかる悲劇を描いた作品。

スローターハウス5」断片的人生を発作的に繰り返しつつ明らかにされる歴史のアイロニー

スラップスティック」合衆国最後の大統領・ウィルバーが綴る回想録です。

*1:村上春樹高橋源一郎に影響を与えたポストモダンの巨匠という評価も聞かれます。著書に「タイタンの妖女」「猫のゆりかご」「国のない男」などがあります。