本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

予測できない書店の売り場

「農業」という産業を見つめ続けた著者の作品です。

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ずっと売れなかった本を「いよいよ返品かな」と思いながら、棚の中でちょっと位置を変えただけで売れだした。書店員はそんな話をいくつも持ってます。平台から棚に置き換えた途端や、よく似た本のそばに置いたときなど売れるきっかけは様々です。本の売れ筋はパソコンで確認ができるのですが、意図せぬ動きを見るにつけ書店の仕事のおもしろさを感じます。理屈だけではない。何かが作用しているのでしょう。

 

「還らざる夏」原安治*1 著(幻戯書房満蒙開拓団と、送り出した信州の集落の記録を中心に、著者自身の体験をまじえながら、農民・農村と戦争の関係を浮き彫りにする。というとても固い内容のノンフィクションです。著者は元テレビプロデューサーです。以前本欄で紹介したあとパッタリ止まっていました。小保方さんの本と石原さんの本に挟んだところ立て続けに買われていきました。なぜか?理由はわかりません。

 

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「エンタテイナーの条件<カバーA・B>」堂本光一 著(日経BP社)がなぜ売れているのか書店員から聞いて納得しました。

この本は雑誌「日経エンタテインメント!」の連載をまとめて書籍化したものです。著者のデビュー時代から現在までの足跡、ミュージカル単独出演の裏側など写真も含め掲載されています。

一般書と違うところは、購入した人でなければ中が見えないようラッピングされて配本されている点です。ふつうラッピングはシュリンクと称して書店員が行います*2が、この本は別で書店に届く前からシュリンクが掛けられています。写真を無断で持って行ってしまう人がいるからなのでしょう。

書店員から「同じ内容のものが、カバーA、カバーBの2種類で発売されています。初版分は各カバーごとに異なるデザインの3枚組フォトカードが封入されていて、お客さんの中には大人買いする人もいます」と教えてもらいました。

ヒットの裏には大がかりな工夫があったのです。

番組でもおつきあいしたことがありますが、ジャニーズのタレントさんは礼儀正しい紳士です。ADさんに対しても気を遣ってくれる姿を見ると、ファンが増えていくのもわかるような気がします。

 

*1:昭和41年~昭和59年にデスク、プロデューサーなど一貫して『明るい農村』のリーダーを務めた。その間「マッカーサー元帥への手紙~農地改革30年~」「再会~35年目の大陸行~」「人間は何を食べてきたか~“食”のルーツ5万キロの旅~」などの特集番組を手がけた。

*2:主にコミックがシュリンク対象となります。コミックがほとんど置かれていないこの書店にはシュリンクできる装置も当然置いてありません。