是非はともかく、本屋大賞が発表されました。投票には参加しなかった書店員は「本が売れればそれでいい」と喜んでいます。
「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本 2016年本屋大賞」の発表会を、4月12日(火)明治記念館にて行いました。
一次投票には全国435書店552人、二次投票には276書店より331人もの投票がありました。二次投票ではノミネート作品をすべて読んだ上でベスト3を推薦理由とともに投票しました。
その結果、2016年本屋大賞に、「羊と鋼の森」宮下奈都*1(文藝春秋)が決まりました。
帰宅してテレビのニュースで見ました。取材に応じた代官山蔦谷の書店員が喜んでいました。この作品は、北海道の山あいで育った青年がピアノの音に魅せられ、ピアノの調律師として成長していく物語です。心の中にある理想のピアノの音を追い求める青年が職場の先輩や客たちとの交流を通じて、悩んだり励まされたりしながら自分の道を見つけ出していく姿を、繊細でみずみずしい文章で描いています。
「過去の受賞者を見ても知名度の低さは抜群。初版も少ない本を選んでくれました。私の勲章と思って、奇跡みたいなこの夜を忘れずに生きて行きます」と、宮下さんは多少緊張しながらインタビューに答えていましたが、誠実な人柄が偲ばれます。
書店の店頭には前日まで数冊積まれていましたが、早々と売り切れてしまいました。「本屋にも仕入れルートの得意不得意があるのですよ」と喜んでいた書店員はちょっと残念そうです。