本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

週間ベスト10

総合部門のランキングです。

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日販調べ(4月4日~10日)

 

5位に入った「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」はニュースショーなどでも取り上げられてちょっとしたブームになりました。当然、ブームにあやかるような出版もあるわけで、本書もその類いかと思っていました。著者の来歴を見ると編集者とあります。

編集者自らが筆を執るのはよっぽどのことです。調べるとかなり力の入った本を上梓する女性編集者であることがわかりました。

blog.livedoor.jp

宇宙物理学者に徒手空拳で食い下がる内容に引かれて読み始めたところ、思いもかけない真剣勝負に発展、あっという間に引き込まれてしまいました。「けなげな」というキーワードに心が熱くなりました。文系は理系ともっと対話すべきだと思いました。編集者に関心を持って本と出会うのもたぶん素敵な出会いなのではないかと思います。

さまざまな仕事で社会は成り立っている。科学者は、世間が放射線の知識を正しく受け取ってくれないことを歯がゆく思っているが、市民は科学が仕事ではない。自分で確かめて判断しなさいと言われても、自分の仕事で精いっぱいだ。

たぶん市民は、こう思っている。「私にそれを要求するより先に、間違った情報を流した人を糺してください。あるいは、意見の違う専門家同士で決着をつけて、結果を私たちに知らせてください」と。

とは言え、科学者がいくら声を上げても、地味な場所で上がる声に世間は気が付かない。科学と社会のかけ橋というけれど、実際には誰がかけ橋の仕事をするのだろう。科学コミュニケーターなど細かいことはあるが、主役はやはり「伝えることが仕事」のメディアではないのか? 今後のために、もっとメディアを巻き込んだ検証と議論が必要ではないか。

http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~soken.editorial/sokendenshi/vol13/nbp2012/precon-finished.pdf

脱線しました。もとにもどって順位を見てみましょう。

  1. 「天才」石原慎太郎 著(幻冬舎
  2. 映画 暗殺教室 -卒業編-」松井優征 著(集英社
  3. おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本」カール=ヨハン・エリーン 著(飛鳥新社
  4. デスマーチからはじまる異世界狂想曲 (7)」愛七ひろ 著( KADOKAWA/富士見書房シガ王国での上級魔族との戦いを終え、改めて顔を合わせたサトゥーと勇者ハヤト。だが、彼は以前よりアリサにご執心だったようで……。彼女を賭け、地下迷宮を舞台に勇者同士の戦いが始まる!?
  5. 世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」くさばよしみ*1 著(汐文社身なりをかまうことなく働くムヒカ大統領を、ウルグアイの人びとは親しみをこめて「ペペ」とよんでいます。さて、ムヒカ大統領の演説が始まりました。会場の人たちは、小国の話にそれほど関心をいだいてはいないようでした。しかし演説が終わったとき、大きな拍手がわきおこったのです。
  6. 暗殺教室 殺たん 解いて身につく! 文法の時間」松井優征 著(集英社シリーズ累計40万部突破の『暗殺教室』学習シリーズ、第3弾は英語試験の鍵となる「英文法」を完全攻略!!
  7. つくおき 週末まとめて作り置きレシピ」nozomi 著(光文社)大人気ブログ『つくおき』のレシピがついに書籍化。週末に作り置きして平日がラクになる。150分で14品!買い物から料理の流れまで、1週間分のおかずをまとめて作るコツが満載!お弁当にもぴったり!
  8. 幸せになる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教えII」岸見一郎 著(ダイヤモンド社
  9. 君の膵臓をたべたい」住野よる 著(双葉社

 


 

*1:艸場よしみ。編集者