本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

期待の新刊2冊

新刊書が店頭に並びました。書店員はいつものように期待を込めています。2冊を紹介します。

「アカガミ」窪美澄 著(河出書房新社

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渋谷で出会った謎の女性・ロダに勧められ、ミツキは国が設立したお見合いシステム「アカガミ」に志願した。しかし、これまで異性と話すことすらなかった彼女にとって、“国”が教える恋愛や家族は異様なもので、パートナーに選ばれたサツキとの団地生活も不安と驚きの連続だった。それでもシステムに手厚く護られた二人は、次第に恋愛やセックスを知り、「新しい家族」を得るのだが…。生きることの痛みと選択、そして輝きを見つめる衝撃作!

 

「ままならないから私とあなた」朝井リョウ 著(文藝春秋

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友人の結婚式で出会った彼女は、他の場所では全く違うプロフィールを名乗っていた―「レンタル世界」。高校時代から発明家として脚光を浴びてきた薫。しかし、薫をずっと近くで見ていた雪子は、彼女があまりに効率を重んじることに疑問を感じる―「ままならないから私とあなた」 

若者が性欲を失い、デートもせず他人にも興味をなくし、国家がサポートする近未来の価値観。そして、無駄を切り捨てる若者と無駄な時間こそ大切だと考える若者が同居する今の価値観。今の時代を真綿のように覆う感覚と自分がどのように向き合うか、あなたの立ち位置はどこでしょう?と問いかけられるような気分です。