2016私の三冊
- 1「家族システムの起源」エマニュエル・トッド 著(藤原書店)
- 2「セカンドハンドの時代――「赤い国」を生きた人びと」スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 著(岩波書店)
- 3「世界マヌケ反乱の手引書: ふざけた場所の作り方」松本哉 著(筑摩書房)
1「家族システムの起源」エマニュエル・トッド 著(藤原書店)
本書は、全く通常と異なる、ほとんど逆の、人類の歴史の姿を提示するものである。ユーラシアの周縁部に位置する、現在最も先進的である国々、とりわけ西欧圏が、家族構造としては最も古代的なものを持っているということを、示しているからである。
■発展の最終局面におけるヨーロッパ人の成功の一部は、そうした古代的な家族構造はかえって変化や進歩を促進し助長する体のものであり、彼らヨーロッパ人はそうした家族構造を保持してきた、ということに由来するのである。
■このような逆説は、日本と中国の関係の中にも見出される。日本は経済的に中国に比べてひじょうに進んでいるが、家族構造としてはより古代的なものを持っているのである。今後は、家族システムの歴史のこうした新たな見方を踏まえた人類の社会・政治・宗教史の解釈を書くことが必要となる。
2「セカンドハンドの時代――「赤い国」を生きた人びと」スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 著(岩波書店)
「思想もことばもすべてが他人のおさがり、なにか昨日のもの、だれかのお古のよう」私たちは「使い古しの時代」を生きているのか―21世紀の国家像をあぶり出す、ポスト・ソ連に暮らす人びとへのインタビュー集「ユートピアの声」五部作、完結編にして集大成。2015年ノーベル文学賞作家、最新作。2013年メディシス賞(エッセイ部門)受賞(フランス)、2014年ボリシャーヤ・クニーガ賞(読者投票部門)1位(ロシア)、2015年リシャルト・カプシチンスキ賞受賞(ポーランド)。
3「世界マヌケ反乱の手引書: ふざけた場所の作り方」松本哉 著(筑摩書房)
まずは、大バカな仲間の作り方、イカサマな金集め作戦など、マヌケ反乱の基本から始まる!そして、最高にマヌケな面白いやつと友達になったり、なんだか知らないけど生きていけたりする空間、金持ちや大企業によって作られた、働きまくって金を使いまくるような消費社会とは無縁な場所を作ろう!!